87 もしもの世界で恋して ページ13
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「あのときちゃんと言えなかったから、今言うわ」
『………』
「俺はお前が好きだ」
『っ、』
「ずっと昔から、小さい頃から、ずっと好きだった」
その言葉に、胸がぎゅっとなった。
確かにあのときは好きとは言わずに告白されたが、改めて言われると、なんとも…。
赤葦さんにもハッキリと言われたが、それに加えてずっと好きだったとかその長さを知ると、なんていうか、色々な感情が余計に出てくる。
「それにお前、気づいていただろ？」
『……少し、だけ』
「気づいていながら、お前は俺と距離を取ろうとしなかったし、俺を意識さえしなかった」
『………』
今までの私の、恋愛への偏見から来る黒尾への態度の罪悪感。まさに、それ。
「そんなお前を見て、正直これは無理だなって思ってた。だからホントは伝える気なんてなかった」
『……うん、』
「けどお前は、誰ともでも仲良くなれるし、好かれやすい」
『果たして本当にそうだろか…』
「……。とにかくまあ、高校でまた好かれているお前を見て、今更焦って悪足掻きしちまったわけだわ」
そう言ってケタケタ笑う黒尾は、自嘲しているようにも見えた。
……その、悲しそうな表情に、私はようやく気づいたのだ。
私が今まで、自分のために避けてきたものは。
私が今まで、面倒くさくて見てみぬふりを続けて来たものは。
「つーことで、言った通り諦めはしねぇけどただの自己満足だ。お前の枷になるなら忘れていい」
誰かの気持ちの、存在をも否定していたのだと。
食堂が見えてきて、黒尾は口を閉じた。
だけど私は顔をあげ、反対に口を開いた。
無意識に足も止めると、黒尾も気づいて足を止めた。
『……じゃあさ、』
＿＿私も、変わらなくてはいけないのだ。
けれど今の私に、変われる手段も余裕なんてものもない。
だから、たいした答えは今は出せない。
それでも、良いと思ってくれるなら。
うるさい自分の心臓の音を聞きながら、私は覚悟を決めた。
『……もし、黒尾がそれで私を惚れさせることができたら』
もし、もしも。
お前の悪足掻きで、私がオチたら。
お前となら、いいと思えたら。
『その時は証拠に、今度は私から黒尾に告白するわ』
そう言うと、黒尾は目を見開いた。
けど、すぐに私の頭を撫でて。
「ははっ、お前らしーわ」と笑った。
……その、裏のない笑顔は。
小さい頃、私が大好きだったものだ。
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マニ。(プロフ) - 未確認歩行物体さん» ✉️。この作品もとても面白いです！これからも応援してます！ (11月22日 14時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
reia(プロフ) - 私、占いツクールで布教活動をしているのですが、この作品のシリーズ、とても好きなので布教してもよろしいでしょうか？ (2022年3月24日 22時) (レス) id: 0d7a47aa6b (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - mooさん» はじめまして！わーい、たくさん褒めて頂きとても嬉しいです(*´∀｀*)こちらこそコメントありがとうございました！( ´ ▽ ` )/ (2021年8月9日 10時) (レス) id: a04ea61aea (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 初めまして、モテ期到来からの各ルートとオマケまで読めて最高でした！ありがとうございます！！ (2021年7月7日 16時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
未確認歩行物体(プロフ) - きゃーぽんさん» きゃーぽんさん、コメントありがとうございます！完結してから4年経った今でも、この作品を見つけて読んでくださった方がいる事がとても嬉しいですヽ(；▽；)ノお褒めの言葉まで頂き、本当にありがとうございます！！ (2021年5月18日 22時) (レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
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