□赤葦京治との出会い2 ページ8
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黒尾の背中が見えなくなってから数分。止むどころか逆に強くなった雨に私は眉間を寄せる。
黒尾は足が速いからたとえ濡れても、早く家についてすぐに着替えれば風邪は引かずにすむだろう。
私は……強く生きないとな……。
やっぱ傘買おうかな…なんて思ったけどそりじゃあ黒尾が報われなさすぎるので私も仕方なくどしゃ降りの中飛び出した。
大人しく傘買って一緒に歩いて帰れば良かったかも、なんて今更なことを思った。
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『ぜぇ、ぜぇ…げほっ、ッはぁ…』
そしてこの体力の無さである。
全力疾走なんで久々で早々にスタミナ切れで近くの公園の雨避けの下に駆け込んだ。靴の中かびしょびしょで気持ち悪い。
『……ッ、はーぁ…』
濡れて顔にくっつく髪を耳にかけて、息を吐いた。
空を見上げてもやはり雨は止むどころか弱まる様子すら見せない。風も出てきたし、どこかで雷がなっている。
……なんていうか。
『……心細いな、』
小さく呟いてヒロインぶってみたことに意味は無い。
疲れたし雨避けの下に設置されているベンチにでも座ろうとベンチを見ても、風に煽られた雨のせいで酷くて、座れるのは勇者だけだと確信。
私は勇者なので手で水を払いそのまま座った。パンツ濡れた。
座りながら、雨で重くなった上着を脱いでそれを雑巾みたいに絞る。よし。これを頭の上に乗せて走れば少しはマシになるだろうか。
でももう少し休んでからでいいかな。
すまない、セリヌンティウス…。私はもう走れないよ…。
クソほども感動しなかった走れなんちゃらのお話に今更感動した。メロスすごい。
取り合えず私は黒尾にメールで『ベンチで一休みなう(^ω^)』と送ってため息をついた。な?やっぱり私と一緒に行かなくて良かっただろ。
「……あの、大丈夫ですか?」
『…あ?』
そして突然掛けられた声。
テンションが下がっていたから低い声が出た。顔をあげると、見知らぬ少年が傘をさして立っていて驚いた。
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未確認歩行物体(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます!!数年もたった今更にまとめての返信になってしまいすみません、全てのコメントは当時にちゃんと読ませて貰ってました…!完結してから随分経ってしまいましたが、新しくコメントくださった方もありがとうございます! (2021年5月3日 13時) (レス) id: d428059590 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - もうこの小説作ってくれた作者様に、感謝だわ。 ありがとうございます!(スライディング土下座) (2020年6月6日 18時) (レス) id: 8baac5d0e6 (このIDを非表示/違反報告)
リンネ - なんかひいおばあちゃんずるい。クロと誕生日同じだよ?!ぼくなんか8/20というなんという日にちだよ。あと1日早く生まれたかった\(^o^)/ (2016年12月17日 17時) (レス) id: ef4590e231 (このIDを非表示/違反報告)
やよい - それから未確認さん、今までありがとうございました!未確認さんへの作品を作ったのでぜひ見てください。http://uranai.nosv.org/u.php/enq/mikakuninn/ (2015年11月2日 18時) (レス) id: e5350613f4 (このIDを非表示/違反報告)
やよい - 実は、未確認さんへのメッセージを書いた作品を作りました。これを見ている読者の方はぜひ、参加していただきたいです! (2015年11月2日 18時) (レス) id: e5350613f4 (このIDを非表示/違反報告)
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