【HUNTER×HUNTER】運命とは複雑なものである。

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この島にきてからどれくらい時間が経っただろうか。


「ーー金ならある。君に不自由はさせない、俺と結婚してくれ…！」

『ウッ…』


現在、恋愛都市アイアイにて。NPCのイケてるメンズにプロボーズされてトキめいていると、突然後ろから体を引かれその場から引き離される。そのままズルズルと引きずられると、私にバンジーガムをつけたヒソカが笑みを絶やさず立っていた。


「ここに永住でもする気かい◇」

『それもいいんじゃないかって思い始めた…』

「キミは本当に絆されやすいな♣」


とりあえず、ヒソカとそこそこ仲良くなってしまった話でもする？
思考回路は可笑しいが最低限の常識はもっているせいで、普段は会話も通じるし案外人間らしいところがあったりと、今ではこうして一緒に恋愛都市に遊びに(？)来たりする仲である。私もこの自分の絆されやすさは自覚しています…。


「ボクとしてはそろそろ、本気で君とヤり合いたいんだケド…◇」

『絶対逃げますわ…』


それが厄介だと言うヒソカに乾いた笑いで返す。


『…まあ、感謝はしているんですけどね』


胸の前で指先をくいとあげる。途端にぶわりと私の足元に芽吹いた葉にヒソカが目を細める。
彼のおかげもあって、私の攻撃用の能力は完成した。それについては本当に感謝はしている。が、だからと言って私は彼の希望であるタイマンに応じる気は全くない。故に、彼は私の逃げる為の能力であるテレポートの制約を知らないし、その制約を最近変更したことも教えていない。

私のテレポート能力、0秒の旅(ロストトリップ)は逃げる為の使用のみリスクが0の能力。それは私がなによりも第一に逃げることを優先した、その意志故に成り立った制約だ。だから戦う意志を持ってしまった今、その能力の制約をそのままにして、攻撃用の能力まで使いこなすにとはできなかった。
よって、必要となったのは能力の制約の改変。
戦うと逃げたい、という真逆の意思による制約のズレを無くすため、私はテレポートが逃げる為の能力だという前提を消した。過去の私が聞けば慌てて止めるだろうが、今の私の現状の為だ。例え逃げる為だろうが、どこにどんな目的で飛ぼうが反動は受ける。今までのごちゃごちゃしたルールが消えて、簡単な制約だけが残った。

だから制限が無かったテレポートでの逃亡に制限がついた今、ヒソカクラスに本気で追いかけられたらいずれ追い詰められて死ぬ。
そうならない為の新能力でもあるけど…！


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