【HUNTER×HUNTER】運命とは複雑なものである。

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次の日の昼間。公園で、本来ヨークシンで会うことを約束していた5人の、残りの1人と待ち合わせをしている。待ち合わせした時間までしばらくあると分かったゴンくんとキルアは、まるでピクニック気分でピザやデザートを沢山買っていた。芝生に敷いたレジャーシートの上で、競うように口に詰め込んでいる2人を見ながら、私はなんとなく呆れてため息をついた。


……何度か試したが、昨日、キルアの元へ飛ぼうとして能力が発動しなかったのは、恐らく既にすぐ側にキルアがいたからだったらしい。確かに予め近くにいる人物の周辺に移動する場合、到着地点を普段から人物ではなく場所として認識するから、人物としてだとある程度近くにいると能力を使用する必要のない距離とされてしまうのも頷ける。自分の能力の詳細くらい自分で把握しておかないといけないね…。
それにしてもあの時、絶もしていないキルアの気配に気づかなかったなんて。焦るとなにも見えなくなってしまうのか、私は…。

なんて昨日の失態を思い出して凹んでいると、ふと、知ってる気配。顔を向けると待ち合わせ相手のクラピカ氏が、ゆっくりとこちらに歩いてくるのが見えた。


「ぶぁはピカ！」

「っ！」


私の様子に気づいてクラピカ氏を見つけたゴンくん。食べてる途中に勢いのまま彼の名前を呼んだから、口に入っていたものが正面にいたキルアにぶっかけられた。ゴンくん、わざとじゃなくてもそれは…ちょっと…。
構わずクラピカ氏に駆け寄り話しかけるゴンくんと、静かに怒りに震え、パイを持って近寄るキルア。べちゃ！と仕返しと言わんばかりにゴンくんの顔面にそれ塗りつけて満足そうに笑うと、今度はそれを追いかけるゴンくん。

全く…平和である。

私の足元まで飛んできたパイに頬を引き攣らせていると、くすりと笑ったクラピカ氏と目が合った。


「…A」

『クラピカ氏、久しぶり』

「ああ。元気にしていたか？」

『うーん、まあ、微妙なところかな、』

「ふふ、相変わらずだな」


昨日会った事を隠したまま、息をするように嘘をついた私にクラピカ氏は気づかない。
…昨晩、幻影旅団の頭を含む、ほとんどの団員の死亡がニュースで報道された。とても信じられなかったが、クラピカ氏は実際に自分の目で確かめたらしい。微笑んでこそいるが、どこか儚げな表情を浮かべるクラピカ氏。長く恨み続けた復讐相手があっさりと死に、行き場失った感情に喪失感を感じているのだろうか。皮肉なものだ。



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