思い出せない ページ3
もうすぐで始業時間となり、先生達が一礼して次々と庵を出ていく中、父様が私と伊作先輩を呼んだ。
「Aと伊作は残ってくれ。昨日のことを詳しく聞きたい」
「一応、あったことは全てご報告しましたが……？」
昨夜のうちに報告済みだったらしい伊作先輩が、ぱちりとまたたく。
「Aに話を聞くのに、伊作にもいてもらいたいのだ」
「わかりました」
何度か心配そうに振り返りながら出ていく勘右衛門達にニッと笑ってみせ、私は先生達の方へ向き直った。
「昨日、何があった？ それによっては今後の対応を考えねばならぬ。誤魔化さず、全てを正直に答えるように」
スッと厳しい目になった父様が、真っ直ぐ私を見てそう言った。
伊作先輩からの報告を受けている、ということは、私に求められているのは先輩と離れて行動していた時の報告、すなわち狐蝶としての報告である。
全てをということは、狐蝶として数馬達と関わっていた間のことも言わなければならないのだろうけれど、それをここで話せば伊作先輩に狐蝶が私だとバレてしまう。
私が狐蝶と知られたくないことはわかっているはずなのに、父様が敢えてそう指示する意図が掴めない。
「籠を盗ったのは誰かわかるか？」
これならば答えられる。
私は目の前で顔を見たし、会話だってしたのだ。
どこの城の誰かを答えるくらい、簡単なこと……のはずなのだ。
……誰、だっけ。
有名な人だった。
名前も顔も知っていた。
それは覚えているのに。
だから私に答えられないわけがないのに。
私が戦ったはずの相手が、思い出せない。
「わかり、ません」
俯いて、ためらいがちにそう言う私に、父様は少し驚いたように目を見開いた後、小さく息を吐いた。
「質問を変えよう。途中で伊作の偽者が現れた、と聞いた。どんな男だった？」
「伊作先輩より……少し背が高くて、がに股で、目がキュッと吊り気味でした」
伊作先輩(偽)の特徴を、私は指折り述べていく。
身体的特徴は出てくるのに、男の雰囲気、使った武器、その強さなど、肝心なことは全く思い出せない。
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白狐 - こんにちは！ 更新気づかなくてごめんなさい（汗） 何か伊作先輩勘付いてそうですね（笑） これからの更新も気長に待ってます！ 受験大変だと思いますが、勉強頑張ってください！ (2022年4月30日 5時) (
レス) @page4 id: bd49b8d856 (このIDを非表示/違反報告)
冴川冬香(プロフ) - 白狐さん» 毎度毎度お返事が遅くてすみません……。コメント&お祝いのお言葉ありがとうございます！ 30期ドキドキですね。放送時間の変更も要注意です〜(汗) 私は食満先輩大好きなので、気がついたら出てきていそうです。今後とも、どうぞよろしくお願いします！ (2022年3月28日 19時) (レス) id: 33f8ec8fc5 (このIDを非表示/違反報告)
白狐 - 更新ありがとうございます！ そして、移行おめでとうございます！ 忍たまは4月から30期ですね �犬任癲�伊作先輩と食満先輩の絡みみれるといいです（笑） これからも頑張ってください！ (2022年3月15日 13時) (レス) id: 73ee669c59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冴川冬香 | 作成日時：2022年3月6日 12時
