不運大魔王の幸運な弟 にぃ

・ ページ18

・


自分たちの順番になるまで、僕たちは他の学年クラスの演技を見た。


六年生の演技、やっぱり凄かった....


五年生も、四年生も、全部凄かった......


A「.......」


カタカタと手が震えた。


自分で分かる。

すごく緊張してる......


兵太夫「どうしたの、A」


A「.......」


ギュウッと自分の手を握った。


兵太夫「ばか。いつも言ってるでしょ。Aは、言葉にしなさすぎ」


A「！」


そっと、兵太夫に抱きしめられた。


兵太夫「緊張してるならしてるって言って。大トリなんて、みんな緊張するよ」


A「うん.....」


兵太夫「大丈夫、大丈夫。今まで死ぬ気で練習したでしょ。絶対大丈夫。あれだけ練習したんだ。絶対大丈夫だよ」


A「うん.....」


きゅう.....と兵太夫の背中に腕を回した。


兵太夫「全部出し切れば、失敗しても大丈夫。ね？」


A「うん、ありがとう。兵太夫.....」


兵太夫「緊張、少しは楽になった？」


A「うん、大丈夫。ありがとう」


兵太夫「ん。じゃあ、着替えようか」


A「うん」


完全に緊張が解れたわけじゃない。

でも、みんながいれば大丈夫。



僕は僕ができることを全部出し切る。



頑張ろう。


そう思い、着替えを終えた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す