一節 十部 ページ10
黒龍はポーカーフェイスで表情に出ないやつであるが感情自体は意外とわかりやすいやつでもある。
気が抜けたところでナオは黒龍を茶化し始める。本調子を取り戻すように。
「クロってば【俺の】主って二回くらい言って…自分のこと大好きかよ!もぅ可愛いやつだなぁ!!」
「っ!?」
ただ、ナオはこういう甘々な
「…主好きじゃだめかよ」
今回は壊せなかった。黒龍は顔を赤くしてそっぽを向きながら言う。
ナオは黒龍のその突然の姿に少しぽかんとするが、瞬く間に口をニヤニヤと歪ませ、先程の茶化しとはまた少し違うトーンで声を上げ、ぎゅーと黒龍を強く抱き締めた。
「かっ………可愛いかよこんにゃろぉぉ!!」
「なっ…!?」
ピコン
どこかで音が鳴る。
二人をほったらかすように宙に画面が浮かんだ。
―――〔
【モンスター討伐:報酬五万G】
************
脱出後_____出た先は入った時の裏側の岩の隙間だった。崖の多い所じゃ助走をつける事が出来ない為飛ぶ事は不可。二人は入り口まで歩いて向かうこととなった。
「にしても、龍おらんかったなぁ」
「だな」
「……クロ可愛かったなぁ」
「…うるせぇ」
恥ずかしいのか、ふいと顔を背ける黒龍にナオは笑いながら二人は帰り道に足を進める。
(いやぁ、クロがツンデレとは………いやツンなのかあれは…?)
ツンとはしてないと黒龍を見つめると、視線に反応して黒龍はナオの方を向く。お互い顔を見合う状態になり黒龍は怪訝そうに何事か尋ねた。
「んだよ、」
「お前属性なんなんだよ」
「一応闇だけど…」
「そうじゃねぇ」
「どうなんだよ」
はぁ、と溜息をつかれて黒龍はわけも分からず眉を顰めることしか出来なかった。
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作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時