一節 八部 ページ44
「たしか、忘れもの探し……一体何を忘れたんだぁ」
頭を掻き、前回目的だった依頼書を読みながら歩く。
「何を探せばいい」
その問いにナオは直ぐには答えず頭を悩ませた。
「うーん、この『もの』が何を指してるか、だなぁ」
「？」
「これ、【忘れもの】って書いてあるからさ、【物】にしないのは何でかなって」
「謎解きか」
「まぁ……そんなもんだな」
二人はめんどくさいと溜息をついた。ナオは頭を働かせる。
「もの、物、者……記憶も忘れられる【もの】かな…」
「詳しい事書いてなのか」
ナオは見ればわかると黒龍に依頼書を差し出す。
黒龍はそれを受け取り中を見させてもらった。
【忘れもの探し：報酬？？？】
場所：東南区域、
〔見つけて〕
「………これだけ、か」
「探すにも探せねぇなぁ」
「ねー」
悩む二人に何処からか声がした。
ナオは声のした方を向くと、赤髪の男が二人の元へ歩いてきた。突然の事に黒龍はナオを守るように前に出る。彼の気配を二人は感じることが出来なかったのだ。
「キミらが探してるものってこれ？」
そう言って見せられたのは彼の手に吊るされたボロボロの朱色のお守りだった。
「首にかけられるようなお守り……」
「……ほんとにこれか？」
何の手掛かりもなく出された答えにそれが正解なのか知らない二人は困惑した。それと同時にナオは警戒した。未だ気配を感じぬ彼に。
何故自分らが探していたものかもしれないものを彼が持っていたのか。
「それは知らん……それより、何が目的なん」
「？」
「何か目的があっての事だよね、所謂それを受け取るかわりに………ってやつ」
「あ〜……うん、そう」
「そうなんかい」
赤髪の男は頬を掻きつつ一言。
「キミ、なんで龍従えてるの？」
「は？」
「いや、不思議なんだよねぇ…幼い女の子が龍を従えて………何が目的なの？」
(なんか先刻の自分と似たような質問されたんだけど…？)
しかし、質問の答えはナオ自身でもわからない。何故かと問われても、名も姿も知らぬ誰かに頼まれたからとしか答えられないのだ。何故その者の為に動いているのか、何も知らないのだが。ナオが、強いて言うのであれば＿＿
「ん……まぁ、それが目的で生み出されたというか、なんというか」
「？」
「自分でもよくわからん」
「なんで？」
「しらん」
「えぇ…？」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
