二節 五部 ページ32
自身の髪を撫でれば、光に反射してキラキラと素敵に輝く。この髪が好きだと言われた、
「そっかぁ、僕の髪好きかぁ……♡」
嬉しそうに両手で髪を撫で、顔に寄せる金龍。
黒龍は幸せそうだとその空間を少し微笑ましく眺めた。
「ん、クロ」
ナオは髪を解きながら黒龍に声をかける。
「神龍探し、いつから再開する？」
「あー…」
「反応なくてもやっぱ心配だから」
神龍は周囲に同族が居ると感知することが出来る神龍特有能力がある。
しかしそれは万能ではない。近くに居る、と感知出来るだけでそれが何処かは分からない。だから依頼等で神龍の足跡を探し見つけ出す地道な作業を二人はし続けていた。
そして、神龍によっても能力差がある。例えば黒龍の場合、広範囲の感知が可能だが明確な場所までは感知不可。
金龍は黒龍とは違って場所は正確ではないが方向位は感知可能。しかし範囲が平均より少し狭い。というふうになっている。
金龍は心配そうな二人を見ながら申し訳なく呟く。
「そんな直ぐには反応来ないと思うよ」
「ええぇ…また十年待つのやだよぉ？」
「そんなに待ったの？でも……すぐには来ないと思う」
金龍が少し俯き気味に言う。何か深い事情でもあるのか、ナオは嫌な予感に眉をひそめる。
「どうして？」
「怪我してるし、 回復するまでに数年身体を休めなきゃいけない」
「怪我？」
「うん、僕は怪我してたよ〜、クロ様は？」
金龍は目を細め黒龍に聞く。嘘はつくなと言われていると理解する黒龍は言葉を詰まらせた。ナオにあまり心配はかけたくない。
「……あぁ、怪我していた」
「たぶん地上に来た時の落下影響じゃないかな」
「落下……」
「場合によりゃ記憶がなくなり、己が龍だと気付けないこともある」
「！？」
勢いよく立ち上がるナオの目には不安が揺らめいていて、黒龍は目をそらす。
「その場合は、主様みたく龍が見える神ノ目を持つものとか、力を持つものとかに頼るしかないね。【人には僕らの姿は見えないのだから】」
金龍のその言葉はどこか冷たく感じた。
黒龍は金龍に声をかけようとした瞬間＿＿
「主」
「何？なんかあった？」
「龍が近くにいる」
「！？…はぁ、黒龍、金龍。依頼役場いくよ！」
三人は慌てて役場へ行き、ナオは掲示板に手を掲げ唱える。
「【九頭龍、汝その足跡を我に示せ、我が前に姿を現せ】」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
