一節 二十一部 ページ21
「自分にゃ役目がある。その役目は言う事が出来ないが、その役目にクロが必要だった。勿論理由はそれだけじゃない。自分はクロが好き、それにクロは似てたから、自分はある意味捨て猫を拾ったような感じかな」
「なんでふたりはおなじようなことをいうの」
「…考え方が似てるんでしょ」
「どうやったらにるの？」
「ん〜…相手を信じる、相手と一緒にいる、相手を…「似せるじゃダメだ」遮んなよぉ」
「気付いたら同じになる、お前にはおっさんがいんだろ？独りじゃねぇんだ、相手を知れ、お互いを知って信じてそして、大事にしろ……したら、多少は似るだろ」
最後の質問で何を知りたいのか理解した黒龍は、ラグナの頭に手を置き目を細めて笑う。
「…ありがと」
「いいとこ取りかぁ？」
「別にそんなんじゃ…」
「おにーさん、おねーさん、またあえたらいいね」
「そうだな」「せやね」
「いくぞ〜」
「はーい」
ゴンサロの声掛けにラグナはそっちへ向かう。
ふとラグナはこっちに振り返って、その小さな手を二人に振った。
「ばいばい」
「ばいばい！」「じゃあな」
後ろ姿を二人は見送りながら、そのまま立ち止まっていた。
「主」
「ん？」
「拾ってくれてありがと」
「なんだよ急に……こっちこそ、拾われてくれてありがと。出会ってくれてありがとうね」
ナオはポンポンと黒龍の頭を撫でると珍しく黒龍は大人しく撫でられてくれていた。
目を細めて受け入れる黒龍に、可愛さで悶えるのはまた別の話。
二人はその後、魔石回収を始めていた。
「結局おらんかったねぇ」
「…あ」
「【あ】？」
何かを思い出したように黒龍は鞄を漁り始め、ナオは首を傾げた。
黒龍は鞄から麻袋を取り出すと、袋を開いた。
「…確かに神龍はいなかったが、あそこ自体には行ったみたいだぞ」
「どゆこと？」
その疑問に答えるように、袋から取り出された一枚の鱗。
「これ……」
「黄金龍の鱗だ、龍化したんだろうな……」
「……大丈夫かな…」
ナオは鱗にそっと触れるとキラキラと金色に輝く粉が地に落ちた。
その様子に二人は顔を見合せた。
「あの金箔もどきの正体ってこれ？」
「…かもな」
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2018年12月26日 11時
