一節 十六部 ページ16
考えることを諦め、溜息をついて地べたに座り込むと、ドコォオオッッ!と大きな岩でも破壊されたかのような音が鳴る。壁が破壊されたのだと瞬時に理解したナオは、直ぐに物陰に身を潜め、警戒しながら音の出処へ意識を向ける。
この感じ………と、いつかのデジャヴを思い、呆れながら。
「うっはー何ここー」
(おっさん!?)
音と煙が止み、次に聞こえたものは声的に中年男性くらいの人のおちゃらけた声だった。
予想外な人物にナオは動揺する。
(おっさんが壁壊すとか何者………でも、龍かもしれんし様子を見よう……)
「あっるぇ〜誰かいるんじゃないの〜?」
(なんかバレてる……!?)
「…出てこいよ」
(こっっわ!怖ァ‼︎)
突然の低音にナオは口を手で塞ぎ息を殺す。
バクバクと速く動く心臓に静かにしてくれと思いながら__
************
「……」
「……だれ?おにーさん」
少し広いところに出たと思えばその先には岩の上に座り、黒龍を見つめる少年が居た。
「先に名乗れ」
「ええぇ……しかたないなぁ」
上げていた足を下ろし、地につかない足を宙にぶらぶらとしながら少年は笑みを浮かべた。
「ぼくはラグナ、おじさんといっしょに【いらい】をね」
少年はにこにこと舌足らずの割に少し大人びた感じで言う。
その姿に少し気味悪さを感じながら黒龍も名乗り返す。
「…俺は黒龍、これぐらいの女と居たんだが……」
黒龍は自身の胸あたりを指して言う。
「どっかいっちゃったと」
「…あぁ」
「おじさんもねぇ、ひとりでどっかいっちゃった。でもここでまてっていわれたからね、ぼくまってるんだぁ」
「……」
互い無言になり数分、ぶらぶらとする足を眺めていたラグナは再び黒龍を見て笑う。
「おはなししようよ」
「…はぁ、少しだけだ」
「わぁい、ありがと」
あまり感情のこもっていない話し方に黒龍は少し顔を顰める。
黒龍は少年と少し離れた場所に座ると少年は早速黒龍に質問を投げかけた。
「おにーさんも【いらい】なの?」
「あぁ」
「おんなのひととはどういうカンケイなの?」
「主と……用心棒的な…?」
「おんなのひと【あるじ】なんだ、おんなのひとのことすき?」
「…まぁ」
「へぇうらやましい」
「ほんとにそう思ってんのかよ」
「もちろん!なんでそのおんなのひとといるの?」
「…誓ったから、忠誠を」
「それだけ?」
「いや、それもあるが一番は大事だからだ」
「だいじなの?なんで?」
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:宇宙ノ彼方 | 作成日時:2018年12月26日 11時