ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

33.コンビニ ページ34

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あまり自ら人と関わりたいと思う事は無いし、一人でも良いと思っていたけど……
この人達なら、



前を歩く皆の後ろを追いかけながら、柄にもなくAは少し、
無意識に笑う。



皆の話を聞いてる時は、家の事を忘れる事が出来る。
もう少し、一緒に居たい。
そう、思った矢先。



「……A？」



後ろから聞こえてきた声に、Aの肩がびくりと跳ねる。
歩いていた足が止まった。
Aの異変に気付いた征十郎も、反射的に足を止めるとそれに続きバスケ部全員も足を止めて振り返る。



聞いたことのある声。
今、この場を見られたら一番困る相手。
一瞬にしてAの表情がピシリと氷ついた。



嫌な汗を一つ流して振り返る。



「やっぱり、Aだ」



そこには、Aの想像通りの人物が優しそうな笑みを浮かべて立っていた。



『お、おにい……ちゃ、ん……』



どうしよう、どうしよう。
見られた。
皆と一緒に居るところを。
一番それを嫌っている相手に。



必要以上に関わるなと言われているのに、



「いつもより、今日は帰りが遅いね？寄り道……してた？……こいつらと？」



寄り道はするなと言われているのに、



なんて言おう、どうしたらいい。
返す言葉がいくら考えても見つからず、Aの口からはその……、これ、は……えっと……などの簡単な単語しか出てこない。



そんなAを見て、だんだんと兄から優しそうな笑みが消えていく。
やがて無表情になり、突き刺すような視線に耐えきれなくなったAは、うつむいた。



『ち、違う……の、これ……は、』

「違う？知ってるよ、こいつらバスケ部でしょ。俺に隠し事なんて感心しないな、何でこいつらと一緒に居る訳？そんな権利、お前には無いだろ？」

『ご、ごめ……ん、なさ……っ』



身体を小さく震わせたAが、後ずさる。



「言い訳は後で家で聞く、帰るぞ」



兄が後ずさるAを強引に家に連れて帰ろうと、Aの手を掴もうと手を伸ばした。



……しかし。



後一歩のところでAの身体は突然目の前から消えた。
征十郎が兄より早くAの腕を掴んで自分の方に引き寄せたからだ。



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