ドS彼氏の彼女攻略【赤司征十郎】

13.水族館 ページ14

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「見て見て赤司君ッ、くらげ可愛い〜」

「そうだね」



あくる日の土曜、バスケ部が休みという事もあり征十郎はクラスメイトの女の子と水族館に遊びに来ていた。



遊び相手としてキープしている子で、たまに彼女の言うこういったデートにも付き合ってあげているのだ。
ただどの魚を見ても可愛い〜を連発する彼女に嫌気はさしているようだが。



女は大抵そうだ。
何に対してもとりあえず可愛いや凄いカッコイイ綺麗と言い、そう言ってる自分が一番可愛いと思っている。
しかもこの女はどの仕草もわざとらしく可愛くしてくる。
コケたフリして征十郎に抱き着きドジな私可愛いでしょと言わんばかりの顔。



そんな彼女を仕方なく抱き留めてやりながらふと思い出すのはAの顔。
誰に対しても媚びず冷たい高宮はこういう事はしないんだろうな、と。
馬鹿じゃないの？と冷ややかな目で見てくるAの顔が容易に想像できる。



……だからこそ、他の女よりも屈服させてみたい気持ちになるのだが。
Aを辱めてあの仏頂面を赤面させてみたい。
不機嫌そうな表情を快感で歪めて、それでいて顔を赤く染めながら涙目でも睨んでくるような気の強さだと尚良い。



「あ、そろそろイルカショーの時間じゃない？！早く見に行こっ？」

「……あぁ、そういえばショーが一番見たいと言っていたね」

「そうそう！だってイルカ可愛いし！」

「(またそれか…)」



それに比べてこの女は……
彼女に分からないように溜息をつくと、征十郎はイルカショーが行われるステージ近くの客席に座った。



数分後、イルカショーが始まる。
隣に居る彼女は携帯で可愛い〜と動画を撮りながらショーを楽しんでいるようだ。
彼女がイルカに気をとられている間のつかの間の休息。
何気なく征十郎は周りを見渡した。



「(やはりイルカは人気だな……ん、？)」



征十郎達が居る位置からは少し遠いが、斜め前方付近。
客席に見覚えのある顔が座って熱心にイルカショーを見ている。
Aだ。



「(……何しているんだ、こんな所で)」



見た限りでは誰かと一緒に来たわけでは無さそうだが。
じーっとイルカを見つめて、



「(……)ッ、！」



イルカがとんで空中につりさげられているボールにタッチした瞬間、わずかにAの表情が緩んだ。



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