ベランダの恋＿2

54 ページ4

＿


部長に言われて嫌々向かった訪問先。

今日は先輩もいなくて俺1人だし。


相手のおっちゃん気難しいんだよなー。

しかも遠いし。





案の定、提案には縦に首は振ってもらえず
また次回に持ち越しになってしまった。




もう。

これ絶対部長にグチグチ言われるやつ。



超絶会社戻りたくねー。





暫く公園のベンチでやさぐれてたけど
そろそろ戻んないとまずいって思って立ち上がって歩き出す。




見えてきたコーヒーショップの看板。



食欲もないし、なんか甘いの飲みたいなー。

だけど昼時で店内は混んでる。





並ぶの面倒だし、コンビニで済まそ。
なんて思ってると列の最後に加わったのは紛れもなくAで。



その瞬間に足は店内へ向かって進み出した。








｢A？｣



いや、分かってたけどね。

偶然ですよーみたいな空気だして声を掛けた。




少し驚いて俺を見上げてくるAは
なんか今日はお肌がツヤツヤしてて可愛い。




あーあ。

今もAと職場一緒だったら
こうやって毎日会えてたのに。








あんなにへこんでたのに、
Aに偶然会えたってだけでこんなにも気分て上がんだ。


しかも明日は約束したAとのご飯だし。






おし。

午後も頑張りますか。





甘いカフェラテを飲みながら、
帰りの電車へ乗り込んだ。





:





会社へ戻って、
カフェラテのゴミ片手じゃまずいなーと思ってフロアへ行く前に給湯室へ向かった。

ゴミ箱に捨てちゃおっと。




あと数歩で給湯室、って時に





｢てかさー、小島さん見た？
部長にすっかり気に入られちゃって｣

｢見た見たー！
しかも本人も満更じゃない感じだよねー｣

｢わかるー。なんかー、
すっごいいい子ぶってるって感じ？｣






おっと。


お女子達、ガールズトークの真っ最中。

全然終わりそうもないし。




....つか、また悪口。



そうやってAのことも
裏でピーピー言ってたんだろうな。





給湯室を諦めて、
方向転換して歩き出すと角を曲がってきたのは
小島さんで。




｢お疲れ様です｣



小さく会釈してくれるけど。





んーーー。


今そっちいくと、まずいな。






｢あのさぁ！｣

｢、え？｣



うん、びっくりするよね。


だってこうやって一対一で喋ったことも
喋りかけたこともないし。


小島さんは、
Aが辞めた後に入ってきた女のこ。


Aより少し年下で
大人しそうな小さいひと。

55→←53

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す