恋愛のススメ〜北山の場合〜

61 ページ11

＿

常連、か。


Aが横尾さんの店で働き出して、
俺らの仲間に加わって。

俺ら7人は
Aから見れば今は同率ってわけね。


その割には
藤ヶ谷と楽しそうに喋ってんのをよく見かけるけど？

まぁ、
同い年だし話しやすいってのもあるのか。



とにかく、
同線上にいるっていう現状が
負けず嫌いな俺の性格に火をつけちまった。


せめて1歩ぐらいリードしたいだろ。

今まで落とせなかった女、いねーもん。


だけどいつも通りのやり方ではこいつには通用しないわけで。



考えながら、言葉選んで聞いてみる。



いつも俺に対して強気なAだけど、
ほら、ちょっと顔が近付けば
途端に女の顔になってる。



これ、イケるか？







･






調子にのって腰を抱いた瞬間に、
Aにドン引きされた。


ドン引きどころか、ブチ切れ。


やべーやつ。







だけど言いかけて黙るAから、
言葉の続きを聞きたくて。









｢……そういうの、慣れてないです｣






恥ずかしそうに唇を噛みながら
小さい声で教えてくれたA。




いつも俺に相当冷たいのは
俺のチャラさにイラついてんのかと思ってたけど。




慣れてない？


もしかして恥ずかしいとかそっち系なわけ？


は？


ちょい。

なんだよそれ。



……すげー可愛いんだけど。




テンション上がりすぎて
思わずマジなトーンで言っちまった。



ら、顔を真っ赤にしてるA。






ツンデレすぎんだろ。






ま、今回はこれくらいで許してやるか。



焦りは禁物ってやつだな。

62→←60

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す