moonlight2 (ページ8)

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Aさんが火起こしできるなんて意外だった

あっという間に火をおこして見せたけど

なぜか途中で彼女は泣いているように見えた

先に失敗してた男二人のように

煙やススを出さずに綺麗に火をおこしたのに

まるで煙にやられたみたいに目をしばしばさせては

涙を拭っていた

どうして泣いた？何が悲しかったんだろう？

子どもの頃のことを思い出した？

たくさんキャンプに行ったと言っていたな

ご両親との思い出かな？

あれこれ考えながらみていたら

不意に彼女がこっちを向くから

いつも俺にしてくれるように親指を立てて笑っておいた

俺の作ったピザは猫のかたちだったのに

みんなにはわかってもらえず

大爆笑のネタになっていた

Aさんも笑ってた

わかってもらえなかったのは残念だけど

彼女も笑ってたから

それだけで良かったなと思った

焼きたてのピザも美味しかったし

夕方ミンギュは帰り

イベントに参加するソクミンは残った

「食べ過ぎたから散歩する」と言って部屋を出たソクミンが

「やばい！何かいる！」と慌てて戻ってきた

何事かと思って一緒にでてみると

木の上でスマホが光っていた

「あ～心配しなくていいよ、Aさんだ」
「え？WIFI飛ばしたんだろ？なぜまたあそこに？」

そう...部屋でも快適にWIFIは使えるはずなのに
彼女は今でも時々木に登っている

理由はよくわからない

「考えごとっすかねぇ？知らないっす～」

今回はカフェのバイト君も聞いていないらしい

「まぁ1人になりたいときってあるじゃん？そう言うのじゃない？」

俺の言葉に

「そだね...Aさんが今日みたいにこっそり泣いていないといいな」

ソクミンは言った気づいてたのか

「ウォヌ君、彼女はつらかったのかな？」
「うーん？俺は幸せだった頃を思い出したんじゃないかと思ってる」

「どうして？」
「彼女の両親はもう居ないから」
「そっか･･･」

ソクミンは静かに俺の話を聞いていた

「散歩は？」
「一人じゃ怖い,ウォヌ君一緒に行かない？」

ソクミンと一緒に夜の散歩をして

戻ってきたらもうAさんは木の上にいなかった

「部屋に帰ったみたいだね」

ソクミンが気づいて安心したように言った

「そうだねいい夢見てるといいな」

ソクミンと居ると素直になってしまうらしい

思わず本音が出た