moonlight2 (ページ17)

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夏の譲渡会はお客さんも多くて賑わって
ピザ焼き体験も喜んでもらえてよかった

新しい家族ができそうな子達もたくさんいる
「できそう」って言うのは
これからお試し同居が待っているから

一緒に暮らしてみて
相性が良ければ新しい家族になる
その手続きなどでこれからますます忙しくなりそうだった

｢今日は”しま”と”とら”を届けよう」
『はい！』

センター長と猫たちを送りに行く

手続きの説明やお世話の仕方を説明しているセンター長は
なんだか格好よく見えた

「うまくいくといいな」
『そうですね』

センターに戻るとカフェのバイト君が走ってきた
「Aちゃん！お客さん！！」
『え？』

私を訪ねてくるなんて誰？

「日本人っぽい」
『え？？？？』

「とりあえずカフェに！」
『うん、ありがとう』

カフェに行くとシンジさんがいた
シンジさんは翻訳の仕事をしていた叔母の担当者だった人で
よく家にも来ていて叔母と私のことをよく気にかけてくれていた
叔母のことが好きなんじゃないかな？と思っていた

「やっと会えた～！Aちゃん！」

カフェの隅に座っていたシンジさんは立ち上がると
真っ直ぐ私の方へ向かって歩いてきて
シンジさんは私をぎゅうっと抱きしめた

シンジさんの肩越しに
あわあわしているバイト君と
カフェに出勤している猫たちの様子を
いつも通り確認しているセンター長がみえる

バイト君が持ってるお皿落とさないように！
センター長がこっち見ませんように！と祈った

悪いことをしているわけじゃないけど
見られたくなかった

『お久しぶりです‥‥‥よくわかりましたね、ここ』
「探したよぉ～人脈使いまくったよ(笑)」

シンジさんはにこやかに言うけど
ちっとも笑っていないように見えた

シンジさんはうちに来ていたときのように
たくさんのお土産を持ってきてくれていた

『ありがとうございます』

どれも叔母と私が好きだったモノばかり

「先生の結婚と引っ越しのことは聞いていたけれど
君がいないって知って僕がどれだけ心配したと思う？」

テーブルの上で私の手を握ってシンジさんが言った

『すみません急なことだったから』

友達にも元同僚にも誰にも教えていなかったのに
シンジさんがここを突き止めたことがすごいなと思った