88.ハンター試験の不合格 ページ43
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「……あのさ、イル兄」
「ん？ 何？」
切り出した私の声は、想定していたのより随分重々しいものになってしまった。自分で出しておいて少し驚く。
「キルは……ゴン君と同じ、もうすぐ12歳になる子供なんだよ」
「……？ それが？」
イル兄は首を傾げた。煽りでもなんでもなく純粋に何を言い出すのかわからないようだ。
私は続ける。
「キルに暗殺の才能があるのは私でもはっきりわかるよ。適性があるのもね。キルと似たような教育を受けていたはずなのにこんなのになっちゃった私が言うんだから間違いないと思う」
「でもキルはゴン君と一緒に笑ってた。すごく楽しそうだったよ。そこにキルが他人を前にしたときいつもはたらく打算はなかった。普通の子供みたいだった」
だんだん言葉が乱れていく。でも、言いたいことはきっと言えている。
「イル兄が殺し屋である前に人間で、ゾルディック家の長男で、私の兄さんであるように、キルだって――」
「第七試合、レオリオ対ボドロ!!」
――突然私達の間を通り抜けていった大きな声にビビり、ヒートアップしていた私は固まってしまった。
逆に図ったのかと疑いたくなるようなタイミングの悪さだ。いや偶然なんだけど。
「……ふーん。普通の子供、ね」
しかしイル兄は私の言わんとしていることを理解してくれたようで、レオリオさん達の方を向きながら呟くように言う。
私もそれに倣った。彼らはいつでも開始オッケーという雰囲気で、お互いの様子を窺っている。
試合開始。
……立会人によってその言葉が言い終えられるのとほぼ同時だった。
先程まで壁にもたれかかっていたキルが、ふと前に出たと思うと、
彼の腕が――ボドロさんの胸を、貫いた。
「あれを見ても、そんなことが言えるのかな？」
ボドロさんは大きく身体を痙攣させながら後ろに倒れこむ。
傷口は大きいらしく、すぐに大量の血が地面に広がっていった。
あまりに突然の状況、無残な光景、鼻腔をつく血の匂い、
まるでそれを予測していたかのようなイル兄の言葉……
その全てが私の思考を鈍らせてくる。
血塗れの腕を下げ、出口の方へ歩き出すキルを、ただ目で追うことしかできなかった。
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くぅつか(プロフ) - キラさん» コメントありがとうございます！ 更新本当に遅くなりますがそれでも良ければお付き合いください！ (2019年1月3日 18時) (
レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
キラ(プロフ) - とっても面白いです！！とても続きが気になります！更新されるのを楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2019年1月3日 15時) (レス) id: 4b08e8e764 (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - C＠音さん» コメントありがとうございます！ そう言っていただけて嬉しいです、更新できる限り頑張ります！ (2018年8月31日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
C＠音 - はじめまして！一気読みしましたが続きがきになって仕方ありません！更新頑張ってください！ (2018年8月29日 14時) (レス) id: ce7a2e00eb (このIDを非表示/違反報告)
くぅつか(プロフ) - 月翔×ミオさん» コメントありがとうございます、励みになります！ これからも頑張ります〜 (2018年8月23日 22時) (レス) id: d6e249ddc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くぅつか | 作成日時：2017年10月5日 18時
