９話 ページ10
一期と厚は一度部屋へと戻っていった。さっきの状況の整理とこれからどう言うように過ごしていくか、あとアタシがしたお願い事をこなしに、ね。
かくいうアタシは手入れ部屋の扉を開けて中に入る…と、そこにはまだ傷だらけの博多が苦しそうな顔をして眠っている。
涙目であわあわとしている包丁藤四郎の横には顔をしかめて手入れを施している我等が近侍の日本号…
流石に染み込んだ霊力を取り出して他の刀剣に注ぐっつーのは難しいよねェ…
「日本号、現在の状況の説明をお願いできるかい？」
「あぁ、とりあえず、アンタの言ってたやり方で重傷よりの中傷までは戻すことができたが…それでも、まだまだだな」
日本号はそっと刀を置いてはこっちを静かに見上げてそう言った。
「いや、それでも上々さね。一期たちの説得はもう大丈夫だ。今は厚と一緒に部屋に戻ってったよ。とりあえず、博多の手入れを完璧に終わらせちまおうか」
まだボロボロだけど、本当に危ない重傷よりはマシだ。
包丁がアタシに見せてくれた状態ですぐに手入れしてたら逆に博多をぶっ壊してただろうからねェ……洒落にならんよ。
霊力を注ぐには刀剣たちにも多少の衝撃が行くからねェ…
刀の柄を持ってはそっと刀身に指を這わせる。やはり、あったかい…
ちら、と寝させられている布団を見ると、博多の表情は少しずつ和らいでいた。
「…少しずつ…少し、ずつ…ッ！」
かなりの上級者でも霊力量のコントロールまで完璧にはできない。
アタシだってまだ難しいんだからねェ。少しでも気を抜くと規定の量より多く流して刀剣たちに影響を及ぼしかねない…し。
なんとか終わらせては、ふぅ…ッと小さく息をついた。
なんとも言えないこの疲労感がこの身を襲う感覚が未だに慣れない。最初の頃なんかは無様に吐いてたっけ…みっともなかったねェ…
「お、大丈夫か？そら、あと一踏ん張りだ。頑張れよ、A」
「うぅ…わかってる。大丈夫さ…すぐに、やる。」
軽く倒れそうになったアタシの肩を抱きとめては日本号はちゃんと座り直させてくれた。とりあえず息を整えて日本号から打ち粉を受け取る
最後の仕上げには霊力はほぼ使わないから、もう、大丈夫。
ポン…ポン…と優しく打ち粉をかけて言っては何回か拭き取って博多の鞘に戻した。
チラリと視線を移すと、博多は気持ち良さそうにすやすやと眠っている。
あぁ、ほんとうに…助かってよかった
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ガーベラ - はじめまして！課長様、姉貴肌ですね〜。こんなお姉ちゃん欲しかったな〜。続き楽しみにしています！これからも更新頑張ってください！ (2020年11月28日 20時) (
レス) id: cdc708129e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：病蛟 | 作成日時：2020年7月12日 17時
