隠し事。

聞いてない ページ12

聞いてない。



そうだ。聞いてない。



いつだったか、言っていた。



『夢がある』のだと。




空が飛びたい？

魔法を使いたい？

動物と話したい？



なんでもいい。

聞きたい。



聞かせて。あなたの、、月音の夢。



きっと叶う。

きっと、、叶うはず。


私に聞かせて。





いつからか、この日常に慣れてしまっていた。



衝撃を受けたあの日から、

どれだけたったことか。


月音にあって、家族を知って。


嫌なこともあったけど、


良いことがありすぎた。



きっと、それが当たり前になってしまっていた。



だから今、私は受け止められないんだ。




月音の病気について。








『治らないの！？』


多分今、

私は今世紀最大の声量で叫んだ。


と、それと同時に３人が振り向く。



「しゃ、しゃべった、、、！？」


「やだ、、やだ‼きっと空耳！」


あわてふためく。


「いや、確かに、、。」


「いやあああ！」


逃げ出す。





『待って！』

もう届かなかった。


玄関のドアを閉める音が聞こえた。



『怖がらないで、、。』



でも今のは完全に自分のミスだった。


思わず大声を出してしまったのだ。



最悪だ、、、、。


気持ちが沈殿していく。






家族に知られてしまった。



激しく落ち込んでいた理由は、


それだけでは無かった。



『治らないの、、？』



もう理解したはずのことを繰り返して

誰かに問う。




何分か前。


３人はテーブルを囲み、目を赤くしていた。




いつも以上に不安だった。



暗い雰囲気は、外から聞こてくる

子供達の遊ぶ声だけじゃ拭いきれず、

その場は一層暗くなるばかりだった。





そんなことを考えていたとき。



お母さんは発した。






「治らない病気だって」



「治療もリスクが高いって」



泣いていた。


泣いていた。


泣いて、泣いて。


私も泣きそうに、、、、




ならなかった。



涙はでないから。



ただ、


驚いた。


驚き故、大声を出してしまったのである。




今見なければいけない現実を

私は一生懸命考える。





でも、


辛さを消すことは出来るはずがなかった。

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