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48話 ページ49

まだ少し明るい夜空の光を吸い取るように屋台の暖色がキラキラと光って
いつもは人混みが嫌いなわたしもこういうお祭りの賑やかな雰囲気は嫌いじゃない


「お、屋台結構見えてきた」

彼は疲れているのを隠しているのか、はたまた男子だから体力があるのかわからないけれど
朝から変わらない笑顔でわたしに笑いかけてくれている

そんな彼の背中を見つめながら「りんごあめたべたーい」と私は子供のような声を上げて甘えて

こんなドス黒い気持ちも全て忘れて彼のことを好きになれたらいいのにと思ってしまった


「好きなの抜いてくださーい」

屋台の人にお金を払おうとしたら彼にスマートに払われてしまい、わたしは思わず情けない声を上げる

すると彼はわたしにリンゴ飴を差し出して、「俺、バイトしてるから」と笑った

そんな、と口にしても彼はいうことを聞かず
わたしはお言葉に甘えてご馳走になった

そんなことが何回もあって
結局ほぼわたしはお財布を出していない

彼は、かっこつけたいからいいのと笑うけれど
そんな風にわたしに優しくするのはわたしに好かれたいからなのだろうか

ふと彼の顔を見上げると、割と整った体育会系の横顔で
スッキリした唇に少し高い鼻
やっぱりカッコ悪くはないしイケメンだとは思う

バンドマンということもあり色白で、祭りの光ですら反射してしまいそうなほど整った肌

「恥ずかしいんだけど、何」

彼が呟いた言葉でわたしが眺めすぎていたことに気がついて、私は「ご、ごめん」と小さく口にした



こういう時漫画とかアニメだと、本当に忘れられない彼が現れて
私服姿にカッコよく思って
やっぱり好きだなって感じるのが王道展開

でも先生は絶対にこういうところに来ないし

もしきてるところに遭遇して横に女の人とか連れてたらもう私はきっと立ち直れないだろう

現実は…甘くないんだな



そんなことを思いながらリンゴ飴を齧ると

りんごの酸味が口に広がって

わたしの酸っぱい感情と重なった気がした

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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時

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