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37話 ページ38

緑間side


「はい、それでは、みなさんお疲れ様でした。」

俺たちの中で1番偉い先生が小さな声で号令をかけて、それに合わせて点検の終わった俺たちも「お疲れ様でした」と声を上げた

時刻はすでに0:30を廻っていて、1日生徒の相手をしていた俺はそれなりに眠い

咄嗟に口から出そうになったあくびを誤魔化して、他の先生に合わせて深くお辞儀をした


俺たち先生が泊まる部屋はまた違う階なので、エレベーターに乗るのだが

眠い目を擦りながらエレベーターのボタンを押すと、後ろから「緑間先生、お疲れさまです」と優しい声が聞こえた


眠気で少し反応が遅れ、ゆっくりと後ろを向くとそこには佐藤先生が立っていた


すかさず俺も「お疲れさまです」と声をかけて、さっきよりも風呂上がりで少し色気の出ている彼女を見下ろす

佐藤先生はさりげなく俺の隣に立ち「短いようで長かったですね」と笑い、俺はエレベーターが開いたと同時に「そうですね」と返事をしながら乗り込んだ


彼女が策士なのは知っているし、きっとこうやって男を落としてきたのだということも見て取れる


俺だって欲がないわけじゃないし、こういう人に靡いてもいいと思うはずなのだが
不思議と何も感じないのだ



エレベーターでは結果一言も喋ることはなく、まるで心臓を貫くような沈黙が俺らを包んでいた

チーンと軽快な音を鳴らして開いたドアから足速に部屋に向かい、途中で佐藤先生にさよならを告げようとしたその時


「…っ、まって!」

腰のあたりにふわっと女性の温かみを感じた




「…っ、何、、を、」

瞬時に抱きつかれたと理解した俺は、女性とは比べ物にならない力で彼女を引き剥がし
鋭い目で彼女を見下ろした

視界には彼女の潤んだ瞳と谷間が映るが
不思議といい気はしないしむしろ何か今までの信頼が崩れていくような音が聞こえる

「…緑間、先生、…。」


その、男を小馬鹿にしたような雌のオーラを出すのをやめろ

そう言いかけて、口を閉じて

「…佐藤先生、おやすみなさい」

言葉を言い換えて彼女に吐いた


「…なにもっ、感じないんですか、」

そう呟く彼女から腕を離して、「私、感情が薄いもので」と冷たくつぶやいて背中を向けると

彼女が鼻を啜る声が聞こえて

その声をかき消すようにホテルのドアの鍵を開けて部屋に入った

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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時

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