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22話 ページ23

「おとーさん、!!ちょっと、」

私が他の従姉妹たちとご飯を楽しんでいる間に、お父さんは酔い潰れてしまった


…って、随分幸せそうな顔だな、


私が揺すっても起きる気配がない


私がため息をつくと、後ろから「俺が送っていくのだよ」と真ちゃんが優しい声をかけてくれて

私は思わず「真ちゃん飲んでないの?!」と声を上げてしまった

真ちゃんの「車で来たからな」と当たり前の答えにそりゃそうか、と頷いてしまい
私は「ありがとう」と呟いた


実は真ちゃんは、私の両親とも和くんを通して普通に知り合いなのである

まさかこんな形でお世話になってしまうとは…


ナイスタイミングで奥から歩いてきた母に、真ちゃんが送ってくれることを伝えると
とても申し訳なさそうにしていたが

家族で電車で帰ると言っても真ちゃんはきかなかった、





帰りの車の中、父はもちろん寝てしまって

母も少し疲れた様子

もちろん私も疲れてるけど、真ちゃんが毎日通勤に使ってる車から匂う真ちゃんの匂いでそれどころじゃない

助手席に座っているのは私のお母さん

先生、ということもあって私の学校のことを聞いたりしてきて、…私も思わず止めたりした


「緑間さんはご結婚とかなさらないんですか〜?」

信号待ちで静まった車内にチッチッと響く音を遮るようにお母さんが変な質問をして

その質問に私の心臓がひと刺しされた


真ちゃんはいつもの真面目な顔で少し黙ったあと、大人の関係の時にだけ見せる自然な笑顔でふわっと笑って
「僕はまだまだですね、彼女とかもいませんし」と答えた

その答えにホッとした瞬間にお母さんが「ええっ!モテそうなのに!!」と声をあげて

私が思わず下を向いたとともに信号が変わった

真ちゃんは、ハハッと笑うと
「あんまり女性とは仲良くしないタイプなので」とアクセルを踏んだ


あんなに離れていた距離が、今日の1日で信じられないくらいに縮まって

私が期待していることもきっと真ちゃんの手のひらで遊ばれているだけなんだ


きっと、そうなんだ、と傷んだ心を塞ぐようにギュッと目を瞑った

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M - 安定の面白さ。黄瀬じゃないのに、、、今まで緑間普通だと思ってたのに、、、今日、りんさんが書いてくれる緑間に惚れましたw更新頑張ってください! (2020年12月6日 14時) (レス) id: 5e52fa6283 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年12月6日 10時

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