緑間真太郎は恋にも鈍感

2話 ページ3

忘れもしない高校一年生の春


ピンピンの制服に身を包んだ私は、体育館で真っ先に真ちゃんを探した

好きだって言う気持ちは忘れてなかったし、もちろんそれを伝えるつもりもなかったけど…


でもやっぱり、真ちゃんはかっこいいし目立ってる

先生たちだってみんなそういう目で見てることがわかりきってるのに…、まるで女性に興味がないのは何でなんだろう



初めて真ちゃんと廊下で会った時、友達と3人で歩いていて

『真ちゃん！！』

と思いっきり声をあげてしまった

しまったと思った時には遅くて、真ちゃんに『学校では緑間先生だ』と、漫画のようなセリフで怒られてしまった

でもそんなことどうでもよかった

私の私生活と真ちゃんが繋がったような気がしたから…


真ちゃんの担当教科は理科

私のクラスで初めての授業をした時の自己紹介でもざわついたのを覚えている


『緑間真太郎だ。高校の時はバスケ部だった。一応今もバスケ部の顧問だ。あとこれはラッキーアイテムの鶏の指人形。よろしく。』


当時はあんまり真ちゃんの凄さをわかっていなかったんだけど

その授業が終わった後に、みんなが騒いでいて凄さを知った

『え、緑間先生って、キセリョとかNBAでやってる青峰大輝とかと一緒にアメリカのチームと戦った人だよね！？』

『イケメンすぎ、、！』

『今日本代表のチームにいる高尾和成さんとかと一緒にプレイしてたらしいよ！』

『キセキの世代ってやつでしょ！？』


和くんもそんなに有名だったんだ、なんて思ったりして

『Aって高尾和成さんのいとこなの！？羨ましい！』なんて言葉は聞き飽きた

秀徳ではあの2人は大スターで、それは9年経った今も変わっていない

そのうち知らない間に真ちゃんのファンができていたりして、先生に直接『カッコいいです〜♡』なんて言うバカも増えたりしてた


バスケ部では顧問兼監督みたいなことをしていて、バスケをしているところを動画で撮られたものが生徒の中で出回ったりしてた

どんどんファンも増えるし、こんなんなら同じ学校入らなければよかったなんて思ったりもした


『なんだ、そんなしけた顔して。勉強捗ってないのか』


『真……、緑間先生…』

廊下でたまたますれ違った時

真ちゃんと呼ぼうとして躊躇した

私が知ってる真ちゃんじゃなかったような気がして


そんな私を見て少し満足げに『やっと慣れたか』と笑った顔も美人で、悔しかったことも覚えてる

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