【d!】鬱ゲーの世界を救いたい

26 ページ28

もう夜遅いので寝巻きやタオルを持って脱衣場に来た。


『やっぱりこういうのは憧れてたんだよね！！私的には狭い風呂も安心するけど、大きいのはプールみたいでいいのかも』


あのゲームでは一回だけ主人公はお風呂にきたがランダムで会うメンバーによる暴走によって入りたくなくなったから、あまり知らない場所だ。

ゲーム攻略者としては詳しいところも知りたいわけだ。

空いているロッカーに寝巻きやタオルを突っ込んでは服を脱ごうとしたが、あることを思い出してしまった。いや、本当は思い出したくなかった。


ここ男しかいないってことは他に入ってるのでは…？


この体は実質私のものではないけれども、今までの言動を考える限り頭が多少おかしい人ばかりしかいないこの世界にて無防備はまずいのでは？

あと三日後に殺される運命かもしれないが、守りたいものは自分にはあった。

仕方がない。ここは一旦身をひくか…

そう思ったときに、さっそく脱衣場の扉が空いた。


そして、入ってきた人物は攻略キャラクターのひとらんらんだった。

顔は茶色く汚れているところから畑でもやっていたのだろうか。


ht「お疲れ様。Aがここのお風呂とか珍しいね。ちょうど入るところだった？」

『うん。入るところだった。あ！もしもひとらんが入りたいなら私はあとで入るよ』

ht「いや。一緒に入ればいいと思うよ。別にそういうの気にしないから」

『気にしないって、私が気にするよ！』

ht「でも、Aとは最近話せてないから話したいし…」


残念そうに言うひとらんにどこか良心が痛む。

私の前世を辿るとそこまでひとらんは今のところは危険な人物ではなかった。

ひとらんはいたって普通に見える人だし、今までのあの人らみたいなおかしな言動をするような人ではない。

とか言うが、本当は隠れたヤンデレであることを私は見抜いていた。

ひとらんルートも攻略済みであるから。

彼の場合、４月１日の最終日にヤンデレが暴走して、それを見て怯えた主人公にひとらんは好きか嫌いか問うが、好きといっても目には恐怖が孕んでいて「嘘つき」と言われて殺されるのが結末。
もちろん嫌いは即殺。


最終日以外は無害ということなので、平気そうだろう。

『うん。私もひとらんと話したいことがいっぱいあるから』

27→←25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す