発覚２ ページ42
昌「…一ヶ月前、雅紀が言ったんだ。夏休み入ったら一週間休みをくれ、ってな。その時も、どこか迷ってはいたように見えたが、二つの条件付きで、俺は休みをやった。」
和「条件？」
昌「出発までに病院に行くこと。そして、今日俺がお前らに、この事を話すことだ。…今朝、雅紀からメールがあったよ。」
昌宏は携帯を取り出し、メールの画面を四人に見せた。
翔「…最後の我侭？」
昌「俺は今まで、あいつが我侭を言ってるところなんて、見たことねぇんだけどな…。」
天井を見上げ、昌宏が呟く。
雅紀は、どちらかと言えば、聞き分けの良いタイプだ。
自分の意見を曲げない頑な部分もあるが、それを我が侭だとは誰も思っていない。
寧ろ、幼い頃から身体が弱いせいか、出来ないものは出来ないという、ある種の諦めみたいなものが、彼にはあったのかもしれない。
翔「…最後…我侭…」
何かを考えている翔の肩に、智が手を置く。
智「翔ちゃん、車出して。」
翔「…へ？」
智「雅紀を迎えに行くよ。」
翔「行くって…場所、解ってるの！？」
智「うん。…そして、早く行かないと…。」
何かに気が付いたのか、翔の顔色が、みるみる青くなっていく。
智「兄ちゃん、教えてくれてありがと。ありがとついでに、和也と潤を、暫くよろしくね。」
昌「いや、俺も共犯だからな。双子は任しとけ。」
和「なっ！？僕も行きます！」
潤「俺も行く！」
声を荒げる二人に、昌宏は落ち着いた口調で話す。
昌「ダメだ。お前らは、俺と留守番。」
潤「何でだよ！」
昌「たまには、雅紀を思い切り甘やかすのも必要なんだよ。だから、ここは智と翔に任せておけ。」
その言葉の意味があまり理解出来なかったが、和也と潤はそれ以上何も言えず、渋々頷いた。
その後、最低限の身支度だけを済ませた智と翔を見送り、和也と潤はごろを連れて、昌宏の家に向かった。
車の中で、翔は何も言わずにいる。
横目で翔の表情を確認した智は、内心溜め息をついて、口を開いた。
智「…あんま、自分を追い詰めちゃダメだよ？」
翔「…追い詰めてないよ。自己嫌悪中。」
それを追い詰めてるって言うんじゃないか？と思ったが、口に出すことはしなかった。
翔「…俺、何見ていたんだろ。」
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作成日時：2013年1月31日 23時
