夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ41)

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発覚１ページ41

その頃、桜葉家では雅紀が話題になっていた。

和「ねぇ。まーくんは、結局どこに行ったの？」

昼食の素麺をすすりながら、和也が聞く。
店は昼休憩の時間で、ドアにはCloseの札がかかっている。
智と翔は、少し片付けて行くから先に食べてろと、今ここにいるのは双子だけ。

潤「…そういや、知らねぇな。」
和「あの人が、行き先を言わずに出かけるって、珍しい。」
潤「まぁ、そうだけどさ。一応、あれでも俺らの兄貴だし。もう19歳なんだから、良いんじゃね？」
和「それは、そうなんですけど。」

何だか腑に落ちないんですよね、と言いながら素麺をすする和也に、潤もいささかの不安を抱えていた。

潤「…あとで、智兄や翔兄に聞いてみるか。」
和「…そうですね。」

ちりーん…と鳴る風鈴の音が、少し切なく聞こえる。

結局、上の兄二人も、雅紀の行き先は知らなくて、双子の不安が増した。

和「…ごろちゃんは、何か知ってる？」

相も変わらずゴロゴロしている愛犬は、和也の顔をチラッと見上げ、また昼寝をし始めた。

和「…そりゃそうか…いくら、賢いごろちゃんでも、わかりませんよね…」

溜め息をつきながら、和也は立ち上がる。時計を見れば、既に夕方五時。

階段を下り店に戻ると、店内の様子がおかしい。
女性客の視線が、ある一点に集中しているからだ。
その視線の先にいるのは、昌宏だった。

和「…あれ？兄ちゃん。」

声をかけると、片手をあげて「よっ！」と笑った。

従兄の突然の来訪により、いつもより早めに店仕舞いをした。
五人でリビングに上がり、コーヒーを飲む。

潤「…で、どしたの？兄ちゃん。」
昌「来ちゃ悪いかよ。」

意地悪っぽい笑顔が、返ってくる。

和「そうじゃないですけど…珍しいから。」
昌「ははっ！わぁってるよ。」
智「…兄ちゃん。雅紀はどこに行ったの？」

茶化すように笑う昌宏に、智は真剣な顔で話す。
その言葉に三人は驚いた顔をし、昌宏は真剣な顔で智を見返した。

翔「…さ、智君？何の話？」
智「雅紀は、いつ帰って来るの？」
和「…ねぇ、どうしたの？」
潤「何の話だよ。」

弟達に縋るような目線を向けられても、智は昌宏から視線を外さなかった。
昌宏は、小さく溜め息を一つつく。

昌「…いつから、気付いてた。」
智「…違和感を感じたのは、今朝。雅紀が何も言わずに、出て行ったから。でも、兄ちゃんが来て、確信になったよ。」

そうか…と、呟く。

暫くの静寂の後、口を開いたのは昌宏だった。