夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ36)

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冒険１ページ36

ベッドから起き上がり、うーんと背伸びをする。
その横で、愛犬も一緒に伸びている。
そんな姿が愛しくて、雅紀はごろに微笑んだ。

雅「ごろちゃん、おはよ！」

わん！

雅「さて、今日も行きますか！」

わんわん！

一人と一匹は、静かに外に出る。
先日買った緑色のリードを付け、近所の川原まで散歩するのが、日課となっていた。

雅「ん～、今日も良い天気だね。」

朝の日差しを身体中で浴びて、川原の土手を歩く。
ジョギングする人とすれ違い、朝早く出勤する人を見送り、雅紀は朝の時間をゆっくりと過ごしていた。

雅「さ、着いた。ごろちゃん、行っておいで。」

土手を降り、川原の少し広い所で、リードをはずしてやる。
雅紀は持って来た野球ボールを、ポケットから取り出し、投げた。
ごろは、それを走って追いかけ、口でキャッチすると、雅紀の所までまた走って戻ってくる。

雅「ごろちゃん、凄いね～！！」

雅紀が褒めて頭を撫でてやると、ごろも嬉しそうにした。

雅「さ、もう１回やる？」

わん！

暫く続けたあと、雅紀は土手の斜面に寝転んだ。
太陽が地平線から離れ、大きく見える。

雅「…明日から、夏休みだ。」

そう。時季は夏真っ盛り。
明日から、下三兄弟は夏休みに入り、兄二人の店の手伝いをする約束をしていた。
この時期、滅多に揃わない兄弟五人を見るのが目的で来店する人が増える。
ある意味、店としても稼ぎ時だが、雅紀は人混みが苦手だった。
兄達との約束は絶対ではない。
出来る時だけで構わないと、言われている。
それに、雅紀はこれが最後の学生としての夏だ。
春に智に宣言した通り、叶えたい夢もある。
その為に、勉強もしなくてはならない。
従兄のカフェで働けるのも、後半年。
吸収できるものは、全て欲しい。

そして、一度はやってみたい夢がある。
それは、誰も知らない、雅紀だけの秘密。