夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ31)

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理由６ページ31

雅「…翔ちゃ？…ゴホゴホッ！ゴホゴホッ！ハァハァハァ…」

雅紀が苦しそうにその場で崩れ、地べたで丸まる。

翔「雅紀！？」
男3「弟の心配より、自分の心配をしろ…よ！？」

男が口角を上げ笑うと、翔はその顔面を殴り付けた。
捕まれていた腕を離させると、翔は急いで雅紀の元へ向かう。
雅紀を抱きかかえ、自分が着ていた上着を羽織らせる。

翔「雅紀！？おい！」
雅「大丈…ゲホッ！ゲホゲホッ！はぁ…はぁ…ゴホゴホッ！！」

智は弟二人を一瞬見て、視線を元に戻した。
その目は、人を射抜けるほどの鋭さがあり、表情は冷たい。

男5「…な、何なんだよ、こいつら…」
智「…わりぃんだけど、お喋りしている時間はねぇよ。」

言うや否や、智は表情一つ変えず、男たちを一瞬で倒した。

智があっという間に男たちをねじ伏せても、翔は当たり前のような表情をしている。
雅紀は、翔に抱き抱えられながら、その様子を見ていた。

初めて見る、兄の姿。
何だか信じられず、熱のせいと半信半疑な自分がいる。

智が駆け寄り、雅紀の額に手を当てる。

智「…このまま、また病院行こう。」
翔「うん。」

ワン！

翔「…へ？」

もう一つ聞こえた、意外な返事。
見れば、雅紀の腕の中に子犬が一匹。

翔「…い、犬？！」

翔は動物に好かれるのに、動物が苦手だった。

雅「さとに？…この子も…ゲホッ！」
智「うん、大丈夫。雅紀が頑張って守ろうとしたんだし、一緒に連れてくよ。」

兄達の優しい声と、暖かい手。
雅紀は、あっという間に意識を手放した。