夕焼け小焼け【緑さんメイン】 (ページ18)

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赤とんぼ１ページ18

午後１０時。
今、和也は潤の部屋にいる。

潤「…あの時の、翔兄の笑顔…半端なく怖かった…」
和「本当ですよ…味方だと嬉しいですけど、敵だと最恐ですよね…」

思い出しただけでも、身震いをしてしまう程に。

夕方の一件の後。

智「はい！じゃ、これでこの話は終わりね。ご飯にしよっか。今日の夕飯はなぁに？」

智のその言葉で、いつも通りの桜葉家に戻った。

雅「今日はね、イカのお刺身だよ。隣のおじさんがくれたの。」
智「マジ！？」

やった～！イカや～！！と、小躍りをする長男。
俺のプリン…。と、撫でた肩をさらに落とす次男。

そんな兄達が、実は昔かなりのワルだったことを、弟達は知っている。
しかし、兄達のワルい姿を見たことがあるのは、双子だけ。
そして、後にも先にもあの一度きりだった。

それは今から十年前。
まだ、両親も健在していた頃のこと。
当時、智１７歳、翔１５歳、雅紀９歳、和也・潤７歳。

今でこそ智と翔は弟三人の面倒を見、ここまで育ててきたが、当時はそうでもなかった。
歳の離れた弟達の面倒を見ることはあっても、自分の時間が最優先だった。

智は公立高校の三年、翔は有名進学高の一年生。
お互い学校環境は違うが、自分を取り巻く環境に然程変わりはなかった。
二人に共通していたのは、金髪とピアス。口と素行の悪さ。
そして、時々見え隠れする弟達への愛情。

雅「翔兄ちゃん…宿題教えて？」
翔「またかよ。ったく、しょうがねぇなぁ。」

雅紀がノートと教科書を持って、おずおずと翔の部屋に入る。