唯一の常識人だと思ってた奴が実はヤバいやつで女だった。 (ページ9)

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番外編　沢木上等兵のヤバいとこページ9

「なあ、知ってるか？沢木上等兵には絶対に手を出すなって話」

「沢木上等兵ってあの…？」

沢木上等兵は美男子というよりは美少年というような幼い顔をしていて他の兵士と比べると少しばかり色が白くて華奢だ。確かにムキムキの男を抱くよりはいいだろうが進んで男色を…というのは気が引ける。

「そんなえり好みしてられねえって。女買うのにも金かかるしな」

「へぇ…」

「でさ、酔った勢いで俺の同期が三人がかりで夜這いに行ったんだよ」

「上官にそんなことするなんて…」

俺が少し顔を曇らせるとそいつはなんだか得意そうになっていた。

「でさ！俺も気になってついていったんだよ」

「怖いもの知らずだな」

「三人で襲ってたんだけど次々に沢木上等兵に返り討ちにされてな、挙句の果てに三人で殴り合えってさ朝まで殴り合わされてたんだよ」

「自業自得だろ…」

「それがさ月明かりにあたって見えたんだがな…沢木上等兵が酒飲みながら全く興味なさそうな顔をしてずっと殴り合ってんの見てたんだよたんだよ。まるでボーっと庭眺めてるみたいにさ」

背中に毛虫が這ったみたいにぞっとした。

「いまだにトラウマなんだよな…」

「それは…怖いな」

「もっと怖いのがさ翌朝全く関係ありませんよって顔でニコニコしながら三人の手当てをしてるわけ」

優しそうな顔をしていて案外やばい人なんだな

「沢木上等兵よりだったらさ鶴見中尉のほうが望みありそうだよなぁ…なんか色気あるし」

「それは高望みしすぎだろ」

笑いながらそう言うとあいつも今夜あたり部屋に行ってみようかななんて笑いながら言った。

その時

襖紙が音もなく開いた。

「やぁ…面白そうな話をしてるねぇ…私も混ぜてくれないか？」

一瞬にして顔が引きつった

「さ、沢木上等兵殿…」

あいつの声が裏返っている

「ちょっと一緒に来てくれないか？」

そう言って沢木上等兵はにっこりときれいに笑った

「は、はい…」

そう言って沢木上等兵と一緒に部屋から出ていったあいつをあれから見ることはなかった。

公式には除隊して地元に帰ったらしい。

公式には．．．