フラれる ページ9
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今月から毎月1回、養成所生のライブがある。
参加を希望すれば出れるようでもちろん俺らも参加するつもりやった。
が。
「リリーさん、すみません、解散しましょう」
なんや俺。初めて女の子にフラれてる？今。
斎藤に、誰もいないからと喫煙所に呼ばれて出向けば言い辛そうに頭を下げた。
「え、なんで？」
「2人でやって気づいたんですけど私ピンの方が向いてる気がしてきて」
おっい。おいおい。
コイツなんやねん！あの日Aちゃんに言われてもピンわからん言うとったやんけ！
…とも言えず。
きっとこういうこともあるやろ
悩んで時期尚早に打ち明けてくれたのはこっちとしてもありがたいはありがたい。
「…しゃあないよな、それは。まあ俺は斎藤とやって楽しかったわ。ありがとう」
と、かなり大人な対応をした。
女の子にフラれるときの予行練習になったと思う事にする。
気まずそうに「じゃあ…」とササッと斎藤は行ってしまい、なんだか虚しくなった。
卒業して斎藤とデビューするという想像もしたことあったけどこんな感じであっけなく解散するとは。
「ふ、ふふ…」
笑いを堪えたような声が聞こえて振り向くと、Aちゃんが扉の前に立っていた。
「あ、聞いてたん、やらしいわ」
「ごめんごめん、フラれてたなあリリーくん」
「もー落ち込むわマジで」
奥のベンチに座ってそういうと、Aちゃんも横に座った。
「でも、かっこよかったよ。あんな大人な返事できるの」
かっこよかったの言葉に思わずドキリとしてしまう。
「さすがは女好きのリリーくんやね」
「まあたそう言うこと…今は全然すよ、本当」
「でも、本当、かっこよかったよ」
Aちゃんはカチリとライターでタバコに火をつけた。
その優しい顔は、きっと後輩に向ける顔なんやろうけど。
「甘やかしたら、好きになるよAちゃんのこと」
弱ってんのかわからんけど、俺もそんなことを口走った。
なんて返事されても冗談で切り返す自信はあった。
「ふふ、もー好きやないの？」
そんな返事が返ってくるとも思わず。
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作者名：ぴぴ | 作成日時：2023年3月13日 14時
