桜の季節 (ページ6)

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落ちるページ6

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「あ、女好きのリリーさんや」

斎藤。おい。
ちょっとはまず喜べや。

するとAさんが

「へえ、女好きなん？」

と意地悪そうに笑った。
心臓鷲掴みされたようにギュウっとした。
誤魔化すように斎藤を見て

「…コンビ組む？組まん？」

そう言えば

「えと、お、お願いします」

とおずおず頭を下げた斎藤。

その姿を優しく見つめるAさんに
俺はこの瞬間、かわいいだけやないって
きっと恋に落ちたんやと思う。

「…リリーくん、ありがとう」

「俺も誰かと組みたかったんで、丁度よかったっす」

斎藤が先に教室に戻り、俺とAさんも一緒に教室へ向かう。
リリーというあだ名もAさんに呼ばれると、距離が縮まった気がしてええかもと思った。

「ああいう子、おんねん、売れるはずかもしれんのに誰かと組めなくて挫折しちゃう子。女の子は特に」

Aさんは続けて

「斎藤が売れたら、リリーくんはヒーローやね」

と笑いかけた。

女の子がこういった職を志すのは大変だという事は芸人も構成作家も同じやと思う。
強いよな、そういう道を選んで。
そういうのも、俺が純粋に女性を好きな理由でもある。

「Aさん」

「ん？」

「下の名前聞いてええっすか？」

「なに？呼んでくれるん？」

あとこういう先輩っぽいおねーさん。
それもまた、俺のドンピシャってやつ。

「A」

「Aちゃん？」

「ちゃんって。別にいいけど、みんなの前で呼ばへんでね？」

呼ばんわ絶対、呼ばせたないもん。

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