桜の季節 (ページ19)

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湧き出るページ19

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不思議な感覚だ。
いつも養成所でしか会わんAちゃんが俺の横を歩く。
本当に他のやつより特別なんじゃないかと優越感を感じる。それと、ごくごく純粋な嬉しさ。

「あ、リリーくん、コンビニ行っていい？」

「もちろん」

Aちゃんはコンビニを見つけるとささっと入っていく。
後ろをついて行くと早々にカゴにビールを入れていた。

「…やっぱ飲みたかったんちゃうん？」

「まあね、飲みながら帰れればそれで」

「帰れれば」というAちゃんの言葉に少しガッカリした。
いや、そりゃ帰るやろうけど。

するとAちゃんはアイス売り場の前で足を止める。

「あ、リリーくん、好きなの選んで」

「アイス？」

「さっきあげられなかったから」

開演前の。俺にだけアイスくれなかったの覚えてたんや。
アイスは別にええけど覚えていた事が嬉しい。

遠慮するのも違うと思ってカゴにポイっとパピコを投げ入れた。
一緒に食べれるから丁度いい。

レジでなんとなく俺が払おうとすると

「吉本は年下でも先輩が払うねん」とわざと嫌そうな顔をした。

俺、やっぱりAちゃんが好きや。

酒のせいなんかわからんけど
そもそも前から思っていたのに
さっきから湧き出てくるような愛しさが止まらない。

「公園かどっかで食べる？」と聞かれて、ぶんぶん顔を縦に振った。

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