ラブリー

わからんの？ ページ27

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絶句

というような顔で口が半開きになる河井さん。


「え、ほんま？
うわ、盛山はわかりやすー思っとったけど、リリーもなん？」


興味津々に、テーブルを挟んで前のめり。


「なんの話ですか」

「はあ？好かれてんのやろ」

「はあ？」


お互い眉間に皺をよせる。

「なんでそうなるんですか」

「いやいや。お前ほんまにわからんの？」


そう、真面目な顔をする河井さん。


本当にわからないといった顔を私がすれば

疑うような表情で私に顔を近づけた。



「た、タバコ吸ってきます」

「おー、考えてみ」


逃げるように席を立って、外にある灰皿の方へ向かった。

盛山さん、わかりやすかったって？
リリーさんもって、何が、


深呼吸して酔いを軽く覚ましつつ

タバコを一本口に咥えて
ボーっと前を歩く人たちを眺める。


火をつけようとすると

「あ、」

ライターがない事に気づいた。

かばんの中に入れっぱなしか。


咥えたタバコをそのまま

ため息を吐いたら



「煙吐かんでため息吐いて

しあわせ逃げんで、おねーさん。」




横に来た男性にそう言われて
驚いて思わず顔を上げる。

その声は聞き馴染みのありすぎる声で



「え、も、盛山さん？！」

「気づくの遅〜」

「なんで？！」

「なんでってー、飲んで帰ってたらAちゃんおったからあ」



と、向かいあった私の両肩に
盛山さんがもたれるように腕を回してきた。

軽く抱きしめているような感じ。

一瞬どきりとしたけど

盛山さんからはお酒の匂いが結構して
呂律も少し怪しい。

だいぶ飲んだ事がすぐわかった。




「盛山さんっ！ちょっと、重…」


「んは、会えて嬉しいんやもん。さっき話せてへんし」


肩に両腕回されて、盛山さんのでっかい体。
私の肩に顔をうずめるから表情は見えない。

あと、
タバコ吸うくせにいい匂いがする。


「あの、私、河井さんと来てて

見られたら勘違いされちゃいます」


どきりとした心臓を誤魔化すようにそう言った。


早く離れてほしくて、
それは、さっきの河井さんの言葉を思い出すから。

意識しないように、
私の神経はずうっと吸えないまま手に持ったタバコに集中させている。




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さみしい・やさしい→←す。

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