ラブリー

す。 ページ26

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「なんや嫌そうな顔して」

「いやー…、おしゃれだなって」

「あほ、いつも来とるわけちゃうわ！
今日は進出祝いやろ。わざわざええとこお前らのために押さえたの。」



嫌味のようにいうと、
ムキになる河井さん。
こういうところは年甲斐もなくかわいい。


私は仕事で少し遅れてこの会に参加になり

店に着くとすでに相方の斎藤は半分寝ながら酔っ払っていて、ペチペチと河井さんに頬を叩かれていた。


「斎藤ほんま飲めへんの？無理させたわ」

「いや、きっと嬉しくて調子乗ったんだと思います」

「わはは、かわいいな、ほんま」



河井さんは
私たちが好きだ。
私たちも河井さんが大好き。


私たちが初めて舞台に立った時にアインシュタインのふたりがMCをしていて
その日から河井さんも稲田さんも我が子のように気にかけてくれる。

河井さんはとくに面倒見が良くて
見取り図の2人とはまた違って
少しだけ、適度な距離感があって心地よい。



「そういえばどやった？エロマンション」


「エロマンションて…
何もなかったですよ、ほんと。」

「おもろなー。
参考にはなったん？」

「ならなかったですけど、東京住もうかなって」


そう言えば、河井さんは意外なようで驚いた。


「刺激された？」

「とっても」

「ええこっちゃ」


河井さんは仕事の報告する時だったり、大きな事を決めた時なんかの話をすると嬉しそうにしてくれる。頼られる事が好きなようだ。


「お父さんみたいですね」

「女芸人の親なんていややわ〜」


こうやって応援してくれる先輩がいるとやる気が出る。


「はー、コイツはコイツでもうだめやな。
俺ん家連れてくか。Aも来るやろ？」


「河井さん家久しぶりすぎますー！
行きたい…で…… 」



す。と言いきる前に
この前のリリーさんの一件を思い出す。


「ん？」


不思議そうに河井さんが首を傾げるから、
私も事のあらましを軽く説明した。

抱きしめられた事は、なんとなく、伏せて。




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