恋する女の子 ページ24
２４ り
「…リリーさん、ご馳走様でした、私帰ります。」
どうしたらいいかも分からず
顔上げるのを待っていたら
俯いたまま聞こえたAの声。
Aはわざとらしく俺を見ないで
ソファから立つと、玄関の方へずんずん向かっていってしまう。
「待てや」
「大丈夫です」
「ちょ、待てって」
キムタクか俺は。
肩を掴んでもAは振り向いてくれなくて
ようやくその反応で
俺の思わせぶりな行動の全部が
どれだけAを落胆させるのか
わかってしまった。
俺はただ
ホイホイ男の家に行くなというのを考えて欲しかっただけやねんけど。
Aからしたら、好きな男に期待させられるだけ期待させられて
からかわれたような感じだと思う。
「…注意したかったんですよね。よく分かりました
男の人の家に行くのやめますから。」
Aは振り向かずにそう言った。
その声はなんとなく聞いた事があって
大阪本社の廊下で会ったときの
今にも泣いてしまいそうなAの声だった。
「A」
名前を呼ぶと、肩が軽く揺れて
掴んだ肩は離してはいけないような気がしてぐっと手に力が入った。
「とりあえずこっち向いてや」
そうお願いしても
頑なにAは向いてくれない。
「向いてほしいけど、ええわ」
小さな背中を後ろから抱きしめた。
もうしょうがなくて
…しょうがないというのは
Aに対する同情とか申し訳なさとかではなくて
俺が抱きしめたくて仕方なくなってしまった。
「り、リリーさん、なんで」
たまらず、いきなり俺が抱きしめるから
Aも驚いてこっちをやっと向いた。
その顔は涙目だけど泣いてはなくて
目をまん丸にしたAの顔。
「やっと向いた」
「そりゃ、向きますよ！」
「ごめんなほんま」
向かい合って
また俺から抱きしめた。
恋というのは
落ちるものという安い言葉を思い出した。
このAに対する感情が恋と呼べるなら
俺はもう気づかない内にとっくに落ちていて
「こういうの、他の奴にされたらたまらん」
そんな事言ってAの肩にうずめた俺の顔は
恋する女の子のように
赤くほてってるわけでもなく
冷静に、Aの事をどれほど前から好きだっだのだろうと記憶をたぐり寄せるのだった。
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ぴぴ(プロフ) - けーぷ☆さん» けーぷさんっ☻ありがとうございます…！お話書いてる方に褒められるとやる気がでます！！笑 しかも詳しく書いて下さり(T_T)本当に嬉しいですっまたぜひ覗きにいらしてくださいませ☻❤︎❤︎ (2023年1月27日 16時) (
レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
けーぷ☆(プロフ) - お話が綺麗で描写が頭で想像しやすくて一気にファンになりました。 特に好きなのは、「おでこの汗」の、お話です。急いで駆けつけて来てくれたお2人が好きです。 他にも、東京を拠点にする話や、それぞれのお家にお邪魔する話も好きです。 これからも応援しております！ (2023年1月14日 0時) (レス) id: 33c732b4c6 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - ななみさん» ご感想ありがとうございます☻！最高だなんてもったいないお言葉…！！しかも私のファンにまで(T_T)！！！笑 本当に嬉しいです！！またぜひ遊びに来てくださいませ❤︎❤︎ (2022年7月2日 0時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
ななみ - 最高すぎます。もりしもリリーさんも、ぴぴさんもますますファンになってしまいました(*´∀｀*) (2022年6月29日 23時) (レス) @page40 id: 2a6ffaf908 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぴ(プロフ) - あおさん» 何度も読み返していただけて(T_T)本当にありがとうございます！！めちゃくちゃ嬉しいお言葉(T_T)！私も2人のお話書くのがすごく好きなので、設定思いついたらまたゆるゆると書きたいと思ってます☻！本当にありがとうございます〜(T_T) (2022年6月27日 10時) (レス) id: b6f7e28a9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴぴ | 作成日時：2022年5月29日 1時
