ラブリー

リリーのターン！ ページ23

２３ り







綺麗に整頓した少し男らしさが残る部屋

手の込んだ料理

マンションの下までお出迎え

ちょっとええ部屋着


そんなんでその気にならない女の子
おらんと違う？




Aはモリシの時のようにホイホイと家に来た。

コイツはほんまに、とまたイラッとしたけど

ちょっと思い直せと灸を吸えるだけ。

おいしいおいしいと連呼しながら食べるAを横目に見ながら
飯を食い終えて、ソファの上で2人でだらける。



「美味かった？」

「そりゃもう、ほんと天才ですリリーさん！
面白くて顔も良くて料理も上手とか…」

「ならよかったわ」


そう言って
Aの頬を指で撫でる。


こんなん、モリシやってしたかもしれない


もっともっとすごい事したかも。


「り、リリーさん」


戸惑いながら俺を見る目は
ぱちぱちとまつ毛がゆれて


「お前さあ、このまま俺が押し倒したら何も言えんよ。」


やっぱり、
無防備にかわいい顔をするコイツに腹が立つ。


「…私は

リリーさんが好きだから大丈夫です」


アホやないようで。
そういう雰囲気なのがわかったようで。


真っ直ぐ見つめるその目が
俺の言葉を詰まらせる。


「俺今日、ええかなって思ってるけど」


鼻がくっつくくらい
顔を寄せると、Aは顔を真っ赤にした。

思わず俺も唾を飲み込んでしまった。


だって、そんな顔

はじめて見る顔やった。


いつも煩くて、うざったいやつが

うさぎのように震えて

でもなんやら期待してるような
恥ずかしそうな、

潤んだ目でこっちを見て縮こまる。



「A」

「は、はい」

「…終わり。やめやめ。

あかんやろ？
男の家ホイホイ行くの。わかったか？」



ぽん、と
ほとんどこっちに体重を任せていた肩を叩いて
俺はソファを立った。






…あぶな。

めちゃくちゃかわええ顔して。

ほんまにキスしてまいそうになった。




なんも言わないAの方を再度見ると
俯いていて表情がわからない。

そのひどくシンとした部屋の空気は

「今このボケ要らんかったな」と思った時の
スタジオの空気と似ていて、

俺はもしかしてあかん事した？と

少し胸がざわついた。






.

恋する女の子→←サービスデー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す