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「一応謝りますけど、じゅんこを誘拐しようとしてたんですから、おあいこです。」
最愛の蛇を撫でながら、後輩の伊賀崎孫兵は謝ってくれた。
生意気だけど、つねった頬が赤くなってて、ちょっとしてやった気持ちになる。
かく言う私も、腰を打って痛めた。
『イテテ...えっと、虎若くんの話だと、1年生も毒虫の取り扱いが許可されてるんだね?
それで、私にも教えてもらえると。』
痛がりながらも、得意となった飲み込みの速さで話を整理する。
「はい!僕達と、伊賀崎先輩で教えられます!ね!」
「「はい!/...」」
「まぁ、教えられなくもないですけど。」
1年生たちが元気に返事をするなか、一人ひねくれている3年生。
そういう年頃なのかもしれないと、飲み込む。
『じゃあ、委員長の代わりに仕事を教えて下さい。お願いします。』
頭を下げると、一年生は元気に「はい!」と返事をしてくれた。
「では、まずムカデの虫かごの交換をやりましょう!」
無邪気な笑顔で差し出された篭の中では、百足が蠢いている。
その様子に、思わず顔が引きつり、先行きが不安になった。
◇◇
もともと昆虫や爬虫類が得意なわけではなく、自分の体に鞭を打ち、なんとか仕事を覚えた。
今も渋々、生き物の確認をしている。
『!三治郎くん、この虫籠の中身がな、い...!?』
異変に気が付き、周囲を確認すると、鳥肌が一気に立つ。
目線の先には、超でかい蜘蛛がいて、こちらに飛んできていた。
『ひっ...!?』
自分でも血の気が引くのがわかり、咄嗟に目を閉じる。
虫好きの人であっても、いきなり顔に蜘蛛が飛んできたら怖いに決まっている。
それに蜘蛛の裏側なんて、得意じゃない人間が見たら夢に出てくる...!!
『うわぁ...悪夢だわぁぁ...!』
「悪夢?おい、大丈夫か?」
『え?』
目を開けると、蜘蛛を鷲掴みにした青年が、こちらの表情を伺っていた。
そのシュールな光景に安心して、へたりとその場に座り込んでしまった。
紺色の制服ということは、5年生...委員長代理!
『ああああの、い委員長代理の、竹谷しゃんですよね...た、たた助けてくださって、ありりがとうございます...わ、私、くのいち教室のの、Aともも申しますぅ...』
「!ああっ!怖かったよな!?もう大丈夫だぞ?ほら、蜘蛛はもうしまったから!」
目がウルウルしてきた私を宥め、蜘蛛の入った籠を見せてきた竹谷くん。
それは逆効果で、私はまた倒れてしまった。
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もち米マン(プロフ) - コメント失礼します!お話し面白くてスラスラ読めます!19,20話が抜けていますがミスでしょうか?確認お願いいたします(..) (9月9日 21時) (レス) id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 待って最推し、、めちゃめちゃ心臓にキて好きです…最高に私得すぎる。。更新楽しみにしてます、! (8月24日 3時) (レス) @page12 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 更新頑張って下さい!!!!!正直に言えば夢主ちゃん以外のオリキャラがいなければええな〜って思いました!まぁ、それを無視して読んでます。アンチではないのでご安心を!!!!!!これからも暇さえあれば読んどきます! (2023年2月12日 0時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
シュモくん(プロフ) - 小桜さんすみません( > < *)՞՞確認不足でした!ありがとうございます。 (2022年11月5日 19時) (レス) @page23 id: b925ba0735 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 19ページの数馬くんの説明(?)のところ、保健が保険になってます。一応、お伝えしときます! (2022年10月16日 23時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュモ | 作成日時:2022年8月10日 15時