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「お疲れ様。あれ?数馬居たの?」
「最初っからいましたよ!伊作先輩!」
席を外していた先輩が戻ってくると、この通り。気づかれていないことがあるらしい。
不思議な感覚だ。
「ごめんごめん。手拭いを温めて目に乗せれば疲れがとれるかと思って、お湯を貰ってきたよ。」
伊作先輩が桶になみなみと注がれたお湯を持って歩いてくる。
(確かに集中していたから、目が疲れたかも。)
目頭を押さえていると、視界の端に、包帯用の布が落ちていることに気がつく。
あからさまに踏んだらお湯をぶちまけそうな位置にあったので、これが不運委員会と呼ばれる由縁か、と納得した。
『善法寺先輩、お湯は私が持ちますから、先輩は座っていてください。』
「え?いや、あと少しで置けるし、流石にくのいちにお湯をぶちまけないよ((うわぁっ!?」
早すぎるフラグ回収。
たまたま転がっていた乳棒を踏み、バランスを崩す先輩。
だが、こんなこともあろうかと、桶の受け取れる位置に立っていたおかげで、私は桶をキャッチすることができた。
『はぁ...だから危ないって言ったのに...あちっ...!』
間一髪、大火傷の人が出ることはなかったが、揺れる水面はやがて飛び散り、私の腕についた。
その拍子に、反射的に熱いと言ってしまった。
「!火傷しちゃう...!すぐ冷やそう。数馬は井戸から水汲んできて!」
「はい!!」
てきぱきと分担し、あっという間に包帯が巻かれ、冷たい水で腕が冷やされる。
普段、不運で鈍くさい委員会だと思っていたが、手際の良さは馬鹿にするものではなかった。
(さっきの鈍臭さが嘘みたい...なんか、見直しちゃった。)
保健委員会の活動を通し、治療を実際に受けたことで、私の中の委員会への印象が変わり始めていた。
◇◇
「痛みませんか?熱を持ってたりは...」
『大丈夫だよ。ありがとう数馬くん。』
その後、新たな包帯となる布を干すため、6年生の長屋まで来た。
保健室の前は、もう満タンだったのだ。
「先輩、僕のこと気づいてくれてありがとうございます。気付いてくれなかったら伊作先輩も気づかなかったでしょうし、火傷がひどくなってたかも。
いつも当番で一緒の人は気づいてくれなくて、今日みたいに連携する時大変なんです。だから目立ちたいってのもあります...
滝夜叉丸先輩にも頼ったことがあるんですけど、やっぱり目立つのって才能ですかね?」
へへへ...と、苦く笑う数馬くん。私はその顔を抓った。
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もち米マン(プロフ) - コメント失礼します!お話し面白くてスラスラ読めます!19,20話が抜けていますがミスでしょうか?確認お願いいたします(..) (9月9日 21時) (レス) id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 待って最推し、、めちゃめちゃ心臓にキて好きです…最高に私得すぎる。。更新楽しみにしてます、! (8月24日 3時) (レス) @page12 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 更新頑張って下さい!!!!!正直に言えば夢主ちゃん以外のオリキャラがいなければええな〜って思いました!まぁ、それを無視して読んでます。アンチではないのでご安心を!!!!!!これからも暇さえあれば読んどきます! (2023年2月12日 0時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
シュモくん(プロフ) - 小桜さんすみません( > < *)՞՞確認不足でした!ありがとうございます。 (2022年11月5日 19時) (レス) @page23 id: b925ba0735 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 19ページの数馬くんの説明(?)のところ、保健が保険になってます。一応、お伝えしときます! (2022年10月16日 23時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュモ | 作成日時:2022年8月10日 15時