仲直り ページ12
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A「翔太。」
渡辺「…。」
翔太を探して歩いていると少し暗い場所で頭を抱えながらしゃがんでいた。
その姿は反省そのもので少し笑いそうになる。
平常心を保ちつつ声をかけると翔太の肩がビクッと反応した。
返事がないので私も静かに翔太の横にしゃがんだ。
A「翔太のこと、いじめすぎました。反省しています。」
渡辺「…。」
A「もうすぐ翔太の出番だから一緒に行きませんか？」
渡辺「…。」
素直に謝るも返答なし。
一人の方がいいのかな？と思い立ち上がろうとした瞬間、無言で腕を掴まれた。
A「…。」
渡辺「…。」
特に翔太からの言葉はないので再びしゃがんでみた。
すると私の腕を掴んでいた手はするりと離れて行った。
再び立ち上がると次は無言で手を掴まれた。
もう一度しゃがんでみるとまた手が離れて行った。
その行動が面白くてつい笑ってしまった。
渡辺「…笑うなよ。」
A「あはは、ごめん。」
渡辺「お前のせいだからな。」
A「わかってる。」
多分お前のせいで拗ねてるってことかな？
適当に「わかってる。」なんて言うから「ほんとかよ。」と突っ込みが来る。
それと同時に翔太が顔を上げて見つめて来た。
見つめ返していると再び顔を伏せられた。
渡辺「ほんとお前って！！」
A「何かした？」
渡辺「してる！！」
よくわからないが翔太の行動が面白くて笑ってしまう。
すると翔太に頭をガシッと掴まれた。
渡辺「お前、他の奴にそんな顔見せんなよ！！」
A「え、変な顔してた？」
渡辺「してた！！！」
ガシガシと頭を撫でながら翔太は立ち上がった。
恐らく楽屋に戻る様子なので私も立ち上がり後ろをついていく。
渡辺「…俺の雑誌、どうすんの？」
A「家宝にしてベッドの上に飾るね。」
渡辺「そうしとけ。」
後姿しか見えないので表情はわからないが、声で嬉しそうなのが伝わって来た。
A「翔太のビジュ全部良かったよ。かっこよかった。」
渡辺「おう。」
そう褒めるとさらに嬉しそうな返事が来た。
本人はばれないようにポーカーフェイスにしてるんだろうけど、もう何十年も一緒にいるんだからそれぐらいわかるよ。
A「もし私がananの表紙になったら買ってね。」
渡辺「絶対出るな。」
A「え〜。Tarzanなら？」
渡辺「露出多いのは無理。」
A「ちぇ。」
ぶっきらぼうだけど翔太の優しさは伝わってるよ。
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作者名：迷子のフクロウ | 作成日時：2022年12月17日 20時
