第558話 涙の時間 ページ19
Aside
この光は…あの時に見た光とよく似ている。
隣(リン)が私の中から、この世界から消えていなくなる時に見た…あの光に。
とても綺麗で、温かくて…それでいて、悲しくて切ない…そんな光。
…あれ、おかしいな。
ついさっき起きたばかりの出来事なのに、なんだかもう…遠い昔の事のように感じる。
けど…
まだ微かに残っている触手の温もり。
次から次へと勝手に溢れてくる涙。
それらが私を現実へと引き戻す。
私達が大好きだった殺せんせーは…もうどこにもいない。
うねる触手に触れる事も、あのふざけた笑い声を聞く事も…もう、永遠に…
皆が大粒の涙を流し、悲しみの声を上げる。
…もちろん、私も。
今まで人前では決して涙を見せないようにしてきたカルマも、この時ばかりは私のすぐ側でひときわ静かに泣いていた。
必死に歯を食いしばって、声を押し殺して…
それでも時折、殺しきれなかった声が吐息に混ざって外へと押し出される。
初めて見たカルマの涙。
初めて聞く、カルマの…悲しみに満ちた、苦しそうな声。
今すぐこの手でその涙を拭ってあげたいけど…でも、ごめん。
『……っ…うっ…うぅ……っ…』
心にぽっかりとあいた、大きな穴。
この穴がこれ以上広がらないようにするだけで手一杯な今の私には…誰かの涙はおろか、自分で自分の涙を拭う余裕すら無い。
どれだけ泣いて、どれだけの涙を流したかなんてわからない。
わかるのは…大切な人がまた1人、私の側を離れ、そして消えてしまったという事実だけ。
業「A…」
誰よりも早く泣きやんだカルマの声は…少し枯れていた。
『……カルマ、私…』
…もう…やだよ。
うんざりだよ、こんなの。
私はもう二度と、誰も失いたくない___‼
カルマの胸を借りて、私はまた泣いた。
私が泣きやむまでの間、カルマは私を抱きしめ続け、優しく頭を撫でてくれた。
いつかこの温もりも私の前から消えてなくなってしまうんじゃないかと思うと、胸が苦しくて…息をしている事さえ嫌でたまらなくなったけど…
そんな気持ちを徐々に打ち消して、私にまた自力で歩き出す勇気と力をくれたのも…カルマがくれた温もりだった。
業「…落ち着いた?」
『…うん。少しだけ…』
私が涙を出し尽くす頃には…周りの皆も涙の勢いが収まってきたのか、フラフラと校舎に向かって歩き始めていた。
業「…じゃ、俺等も行こっか」
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みあ(プロフ) - 中二半さん» 何はともあれ、こんな所に来てくれてありがとう! 今エブリスタでイベント投稿用にオリジナル作品を作っててね、そっちでいっぱいいっぱいだからこっちをお休みさせてもらってて… でも向こうが終わったらまた再開するから、そしたらまた見に来てほしいです! (2018年10月29日 23時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - 中二半さん» え!?カルマくん!?えっ、ちょっ…なぜカルマくんがここに!? あ、えっとですね…Rは18オーバーの姉者がいるので、姉者のiPhoneで見ております。カルマくんの未来がわかるのは…うん、まぁ…そこはあれだね。企業秘密ってやつだね。笑 (2018年10月29日 23時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
中二半 - ヤッホー、みあ、シャロ。朝比奈の彼氏カルマだよ。ゴメンね〜連載短くて。次頑張る。で、俺メインのヤツもっと書いてもらえると嬉しいな〜…Rもなかなかいい感じじゃん、つかなんで俺の未来分かんの?あと3ヶ月で結婚なんだけど。Rんとことかどっから見てたの? (2018年10月28日 20時) (レス) id: a565ea5cde (このIDを非表示/違反報告)
みあ(プロフ) - シャロさん» ただいま〜! 暗殺教室、もといカルマくんは最高の癒しだよね〜。あの笑顔に何度救われたことか… 今も想像しただけで気持ち悪いくらいニヤけちゃうよ(笑) (2018年7月14日 14時) (レス) id: 84281e05bb (このIDを非表示/違反報告)
シャロ(プロフ) - おかえりなさい!!本当だよね!また、暗殺教室やって欲しい!暗殺教室は僕の癒しだし!!(笑) (2018年7月9日 1時) (レス) id: 1472190f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みあ | 作成日時:2017年6月24日 0時