水底のキミ【奈良坂透】 (ページ8)

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友人ページ8

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「おっ！ Aじゃ〜ん。久しぶり〜」

「米屋。久しぶり。
三輪も」

「‥‥ああ」

今帰り？と尋ねれば、彼女は「そ」と頷いた。

黒縁の伊達メガネ、白のニットワンピにベージュのコート。弾バカと同じ色の、緩くウェーブのかかった髪を耳の下でまとめている。
相変わらず何でも着こなすな〜と感心していると、Aは腰に手を当てて秀次の顔を覗き込んだ。

「ちゃんとご飯食べてる？ちょっと痩せたんじゃない？」

「た、食べている！覗き込むな！」

「ふ〜ん。ならいいけど。
あ、そうだ。公平知らない？」

スマホの画面に指を滑らせながら聞いてくる。
あいつは確か太刀川さんの報告書作りに付き合わされていて、まだ帰れそうな様子ではなかった気がする。

その旨を伝えれば、「また太刀川さんか〜」とため息をついた。そういえば先週も同じような理由で、一緒に帰るのを断念していたはずだ。

「何ならオレが送ってこっか？」

「え、これから防衛任務とかあるんじゃないの？」

「まだ時間あるからだいじょーぶ。だよな、秀次」

「‥‥帰りは急いで戻って来いよ」

「りょーかい。
というわけで、行こーぜ」

「‥‥じゃあお言葉に甘えて。今度なんか奢るわ」

「お、やりぃ」

三門市内で彼女を知らない人間はいないと言ってもいいだろう。それだけの有名人が夜に一人で歩いていると、何かと危険も伴う。

本人にもその自覚はあるため、出水が本部にいるときは出水と、いない時は家族に迎えに来てもらっているのだ。