ご加護のつく少女は見習いです。【ブラック本丸】 (ページ16)

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拾.本音です。ページ16

刀の交わる音が聞こえた。
振り向くとほたるんが僕に刀を向けてて、それを歌仙さんがとめてた。

『…一応聞くけど、どうしてそんなことをするの？』

心臓ばっくばくなAちゃん。きもちを悟られないように優しく問い掛けてみる。

蛍「…だって、だって！人間のせいでみんながおかしくなっちゃったんだよ！
　国行は審神者の呪術に操られて俺たちのこと斬ろうとしてきた…！

　国俊は国行のためにアイツに抗議しにいって重傷にされた！
　次は俺が何かされるかもしれない。そうなったら国俊を守れなくなっちゃう。

　だから、何かされる前に斬っちゃおうっておもったんだよ！」

泣きそうになりながら、怯えるように話す蛍丸。

彼も中傷に近い傷を負っている。

諦めたような顔で愛染をみながら

蛍「もう、いいよ。ごめんね、国俊。最後まで守ってあげられなくて。…もう、折ってもいい。でも、国俊は…国俊だけは助けて。」

そう言って蛍丸は刀を差し出す。Aは無表情のままその刀を受け取る。

歌仙「…！お、おい。君」

歌仙が声をかけると同時に蛍丸の刀が光出す。

光が収まったかとおもうと蛍丸の体の傷は綺麗に消えていた。

Aは呆然としている蛍丸を優しく抱き締めた。

『折ってもいい。なんて、簡単に言わないで。
もし、今愛染くんが起きていたり、明石さんがいたら絶対に悲しんでいたよ？

君は優しいから自分が犠牲になってもいいって思ってるかもしれない。
でも、君がいなくなったら自分のせいだ。ってみんなずっと後悔しながら生きなければいけなくなる。
そんなの君も、みんなも嫌だろ？だから、自分を大切にしてよ。ほたるん。』

優しく、慰めるように話す。

抱き締められて警戒していた蛍丸も途中から抱き締め返して、国俊、国行、ごめんね、といいながら泣いている。

　 …審神者への怒り。力が少なく助けられない自分の不甲斐なさに涙が出てくる。

どうして人間はこうも違うのか。

どうしてこんな小さい子が苦しんでいるのにみてみぬ振りをするのか。

考えたって、分からない。

答えが分かったとして、助けられない。

ごめん。

ごめんね。

と、頭の中で蛍丸が泣き止むまで謝り続けていた。