ジェイドに惚れ薬をかけようとしたらマレウスにかかってしまった話

＊36話＊ ページ39

アズールくんに呼ばれ、ジェイドくんが部屋へと入ってくる。




今日もほれぼれするくらいかっこいい…ずっと眺めてられる…結婚しよ…。




いや、結婚なんておこがましいか。




そうだな…やっぱり行き着く先はキノコだ。キノコになりたい。




大事に育てられて、最後には美味しく調理されたい。そして、ジェイドくんの血肉となる…。




うーん、素晴らしい。




やっぱりキノコになれる魔法薬を作るべきだな。




変身薬の応用で作れないかな。人の爪や髪、血をキノコの胞子に置き換えればいける？




「…大丈夫ですか？」




「えっ！？あ、うん、大丈夫だよ！？」




アズールくんにいきなり声をかけられて、声が上擦ってしまった。めちゃくちゃ恥ずかしい…！




どうやら、ジェイドくんをガン見して固まってたみたいだ…。絶対やばいやつだって思われたよね…もう生きていけない…。




ジェイドくんは本心が見えない顔でにこにこと笑っている。




くー！もっと顔に出るタイプだったらなー！彼が今、どう思ってるのかわかるのにー！




「ジェイドには、この魔法薬の効果を消す薬をAさんと作ってもらいます」




「それは、Aさんが使っていた…」




「マレウスさんにかかったのは事故だそうです。だから、効果を消す薬がほしいと」




「…なるほど。そうですか」




相変わらずにこにこと笑うジェイドくんを見て、アズールくんは首を傾げる。




「何がそんなに嬉しいのですか？」




う、嬉しい…？いつもと変わらない気がするけど…アズールくんには分かるのかな。




「いえ、なんでもありませんよ」




ふふふと笑って首を横に振った彼は、私の方を向く。




そして、そのままの表情で




「魔法薬作りはいつから始めましょう。連絡が取りやすいよう、アドレスを交換しましょうか」




「えっ！？う、うん…！」




慌てて携帯を取り出す。マナーモードにしていたため気付かなかったが、マレウス先輩から連絡が入っていた。




私を捜しているみたいだ。




「…どうかしましたか？」




「…ううん。なんでもない」




見なかったことにして、ジェイドくんと連絡先を交換する。




私のスマホに、ジェイドくんの連絡先が…！




あぁ、なんて今日は良い日なんだろう…！幸運になれる薬を使った時よりもハッピーな出来事ばっかりだ…！




「魔法薬作りは明日からで良いかな…？」




「えぇ、構いませんよ。楽しみにしていますね」

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