*29話* ページ30
「こここ怖い…!落ちる、死んじゃうぅ!」
「僕がいる限り大丈夫だ」
頭の上から降ってくる声に、少しだけ冷静さを取り戻す。
1番苦手な"あれ"とは飛行術のこと。
そう、私はジェイドくんのこと笑えないくらい飛行術ができない。
彼は元が人魚だからできなくても仕方ないんだけれど…
私は元々陸で生活していたにも関わらず、飛行術ができない。
そもそも運動あんまり得意じゃないし…。
今乗っている箒は、後ろに乗っているマレウス先輩が操縦してくれている。
だから、私がやるより安定感がありすぎるんだけど…
でも、怖いもんは怖い。
こんな棒切れに人が乗ること自体おかしい。バランス崩したら真っ逆さまなんだけど。
最初は良かった。マレウス先輩に包まれてる感じがする、ドキドキ♡って感じだった。
今は、別の意味でドキドキしてる。落ちそうで。
「下ではなく、上を見よ」
「う、上を…」
瞑っていた目を開け、ゆっくり顔を上げる。
「あ…」
「美しいだろう?」
沈みかかった太陽が、地平線の辺りをオレンジ色に染めている。
その上から、覆いかぶさるように夜が迫っていた。
ちらほらと出てきた星が、キラキラと輝く。
普段見ている景色とは違い、空が近い。
興奮して思わず頭を後ろに倒し、マレウス先輩を見上げる。
「手を伸ばせば星、掴めそうですね!」
そう言って笑うと、マレウス先輩は目を瞬かせた後、顔を赤くした。
そして、小さな声で
「…お前が望むのならば星も掴んでみせよう」
そう言った。
「ふふ、マレウス先輩も冗談言うんですね!」
でも、マレウス先輩だったら本当に星を掴めそうだ。
飛行術がこんなに楽しいなんて知らなかったな。風も気持ちいい。
「今度は夜に飛んでみたいなぁ…」
「あぁ。今度は夜に」
「また、付き合ってくれるんですか?」
「当たり前だ。お前は僕の婚約者なのだから」
もし…婚約者じゃなくなったら、マレウス先輩とこうした生活はなくなるのか。
部活も減るだろうし…。いや、そもそも不敬罪で打首か…?
そう思うと胸が苦しくなると同時に身体がぶるっと震える。
マレウス先輩の隣は心地がいい。
554人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kouboukun(プロフ) - 反対者がいれば、捻り潰そう。これ見たとき思った事(おお〜強ぇぇぇぇぇ) (2020年7月19日 17時) (レス) id: 6b5d77f9d6 (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - 愛さん» 丁寧に感想を書いてくださり、ありがとうございます…! めちゃくちゃ嬉しいです!実は結構不安で…こんな感じで良いのかな?と思うことも多いので、愛さんのコメントに勇気をもらいました…!読んでくださりありがとうございます、これからもよろしくお願いします! (2020年7月16日 21時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
愛 - コメント長々すいませんでした!
このままじゃキュン死にしそうだったので!!
私、完結まで生きてられるかなぁ(笑)
本当、素敵な作品をありがとうです!
更新、楽しみにしています!
後、ami☆さんの他作品も読んでみますね! (2020年7月16日 6時) (携帯から) (レス) id: 503913e7d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - アズールのウブさや(笑)ジェイドの場面めっちゃ夢主とリンクしてめちゃめちゃトキメキました!
マレウスの連絡来てたの切なくるし、リドルの気持ちを出せれない所とか!?
ヤバイです!
もう、キュン死にです!!
(2020年7月16日 6時) (携帯から) (レス) id: 503913e7d3 (このIDを非表示/違反報告)
愛 - ami☆さ〜ん!!更新されるたびキュンキュン度がヤバくて心臓いくつあっても足りないです!!
夢主になりたい!(笑)
ami☆さんの小説はキャラがキャラらしいというか、キャラの心情などの描写がすごく上手で凄いです!引き込まれます! (2020年7月16日 6時) (携帯から) (レス) id: 503913e7d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ami☆ | 作成日時:2020年7月8日 16時