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昨日渡辺くんから言われた通り、ちゃんと向き合わないと何も変わらない。
私も逃げずに伝えなきゃ。
『蓮くん
忙しい時にごめんね。
電話で良いから、少し時間取れないかな。』
タイミングが良かったのか、すぐに返事が返ってくる。
『電話じゃなくて会って話したい。
これから会えない？』
『大丈夫だけど、タイミング的に今は会わない方が良いと思う。』
『そうだよな。
でも、こんな大事な話を電話とかメールで終わらせたくない。
わがままでごめん。』
『私も会って話したいと思ってるけど…
じゃあ、私が蓮くんのお家に行くのはどう？
それなら撮られたらする心配はないよね？』
『今はそれが一番いいかも。
迷惑掛けてごめん。』
『大丈夫だよ。
じゃあ、これから準備して家出る時にまた連絡するね。』
『分かった。気を付けてね。』
ある一つの覚悟をして、蓮くんの家に向かった。
・
「お邪魔、します」
「ん、どうぞ。
ごめん、ちょっと散らかってるわ。」
蓮くんは疲れているのか、顔色も良くなくて、目の下にクマも出来ているようだった。
お互いひどく緊張していて、中々喋り出せない。
暫く沈黙が続いた後、蓮くんがゆっくり話し出す。
「……俺の記事のこと、知ってるよね。」
「……うん」
「まず、話すのが遅くなって不安にさせてごめん。」
「…大丈夫、だよ」
「あの時一緒にいた子は彼女じゃなくて、本当に友達で。」
「…うん」
「勿論何も無いんだけど、あんな記事が出て、Aさんからしたら友達だって言われても信じられなくて当然だと思ってる。」
「……」
「俺馬鹿だから、どうしたら信じてもらえるかとか分かんなくて。
今はただ、Aさんに会って、直接伝えることしか思い付かなかった。」
「…っ」
「ただ自分の気持ちを押し付けてるだけだって分かってるんだけど…
Aさんを好きな気持ちは、ほんとだから。」
「れん、くん」
「その気持ちだけは……信じて欲しい。」
真っ直ぐ私を見て言った後、蓮くんは肩を小さく震わせて俯いた。
その姿に、思わず彼を抱き締めていた。
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作者名：まりも | 作成日時：2021年2月22日 9時
