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ー コンコン
電話から15分程経った頃、ノック音がする。
ドアを開けると、さっきまで舞台の上にいたはずの蓮くんの姿。
「こんな時間にごめん。」
「大丈夫だよ。入って？」
「ん、ありがと。」
一人で1泊するだけだから、大した広さもなく、場所がなくてベッドに腰掛ける蓮くん。
変な緊張感が漂っている。
「えっと…狭くてごめんね。
備え付けのお茶かコーヒーしかないんだけど、淹れ、っ…」
飲み物を用意しようと離れると、腕を引かれそのまま抱き締められる。
「ちょっ…、れ、んくんっ、」
「ごめん、ちょっとだけこのままでいさせて」
一切物音がしない部屋で、蓮くんと私の鼓動だけが響いている。
「今日言うつもりなんて無かったんだけど、もうこれ以上抑えられないから言うね。」
「……」
「俺、Aさんのことが好きだよ。」
「…っ、」
抱き締められた腕が弱まると、向かい合って真っ直ぐ私を見て、静かに呟く蓮くん。
「Aさんの気持ちが知りたい。」
「わたし、は………、よく分からないの。」
嬉しい気持ちと不安な気持ちが入り混じって、今はちゃんと蓮くんを見ることが出来なくて目を逸らす。
「思ってること、ちゃんと教えて欲しい。」
「……少し、時間が欲しい。」
「俺のこと、嫌い？」
「……き、嫌いな訳ないよ。
でも、今はすぐに答えを出せない、の。」
「……わかった。
いきなりこんな話してごめんね。
でも、ずっと会いたくて、もう会ったら我慢出来なかった。」
「蓮くん、」
「Aさんが振り向いてくれるように、俺頑張るから。
…じゃあ、おやすみ。」
そう言い残して、蓮くんは部屋を出て行った。
この想いは何処へ行くんだろう。
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作者名：まりも | 作成日時：2021年2月22日 9時
