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水曜日はすぐにやってきて、予定通り仕事を終わらせて定時で退社する。
前と同じ駐車場の同じ場所に渡辺くんの車。
今日はちゃんと助手席に乗り込むと、「今日は素直に座るんだ」なんてふざけて言ってくる。
「仕事終わりにごめんな。」
「大丈夫だよ。渡辺くんも今日はお仕事？」
「うん、1本バラエティの撮影があった。」
そう言いながら、エンジンをかけて車を出発させる。
「車で1時間くらい掛かるから、適当にファーストフードでも買って腹ごしらえしよーぜ。」
「えっ、車の中で食べていいの？」
「別にいーよ。なんでそんな心配してんの？」
「だって、渡辺くん綺麗好きなイメージあるから…」
「佐藤、そんなに派手に食うの？
佐久間とか目黒とかはガサツに食いそうだから絶対許さんけど、佐藤なら許す。」
そんな会話をしながら、ドライブスルーで2人分のホットドッグを買って、また走り出す。
「渡辺くんって、運転してるといつもの100倍大人に見えるよね。」
「ふはっ、いつも何歳に見えてんだよ。」
「…5歳くらい？」
「おいっ、俺らが出会った頃より遡っちゃってんじゃん。」
「ははっ、冗談。
でも、メンバーのみんなといる時の渡辺くんは、良い意味で子供みたいにはしゃいでて、ほんと楽しそう。」
「まぁ、楽しいは楽しいな。
9人もいると、部活みてーだしな。」
お互い気を遣わずに喋りたいときに喋って、
合間でホットドッグを食べてたらシートにマスタードを落として渡辺くんに怒られたりと、なんだかんだで楽しいドライブ。
それから暫く車を走らせると、窓の外に見えたのは、大きくて真っ暗で、全部飲み込んでしまいそうなほどの景色。
「……海？」
「そ。どこ行こうか色々悩んだんだけど、やっぱ職業柄、あんまり沢山人が居るとこは気軽に行けねぇからさ。」
「…そうだよね。」
「ちょっと寒いかもだけど、外出て話さねー？」
「うん、」
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作者名：まりも | 作成日時：2021年2月22日 9時
