Mirror.28 ページ28
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A探しから一転してルーク探しになった今、彼の詳細を尋ねようにもどんどん人が遠ざかって行く。それもその筈だ。何せ鬼の形相の餌食になりたい者など誰一人居ない
しかしヴィルの稀に見る大憤怒の噂を聞きつけた一人の人間が軽快に彼の肩に手を置いた
「やぁムシュー!そんな面持ちで何を必死に探しているんだい?」
カンストしたその楽しげな声に相反してヴィルは肩に置かれた手に爪を立てた
「アンタよルーク!!!
飛んで火に入る夏の虫ね!!」
「ははは!何の事だか分からないが愛ある怒りの爪が痛いな」
ここまで変人気質を兼ね揃えた者は喜んで火に入ると学んだ遠巻きなのであった
ーーーーーー
「Aの事で学園長からアタシに伝えておくように指示されていたんでしょう、どうして教えてくれなかったのかしら」
ギシリと歪められた椅子の背骨は有無を言わせない絶対に、しかしルークは臆するどころか数回瞬きを繰り返して口を縦に開いた
「言ったじゃないか。当日に彼は魔法の無い別世界から来た人間だと」
ルークに言い分に開いた口が塞がらず数秒固まる
「……嘘でしょ、聞いた覚え無いわ」
「嘘じゃないさ。トリックスターが寮長室に無断立ち入りした不祥事の後説明したじゃないか。それともタイミングが悪かったかな?」
血の気が引いていくヴィルとは裏腹にルークは穏やかに微笑む
「そうよ、全てそっちのけになっていたんだわ。不運な事に合同授業なんて一度も無かったから気付くタイミングなんて無いと思えば辻褄が合う……」
「その様子だとこの学園内で彼の事情を知らないのはムシューだけの様だ」
「追い打ちかけないで。寮長として我が寮生の事情を把握していなかったなんてあるまじき事よ」
とうとう頭を抱えたヴィルをルークは一瞥してから彼の元に歩み寄って耳に口を寄せた
「失敗なんて誰にでもあるさ。
__それに、トリックスターが我が寮生である事に何か後ろめたい事でもあるのかい?」
それは掌握
人目を阻んだルークの本性が露呈して肩を揺らしたところでドアの隙間から漏れる人影に目を見張る
「……Aそこにいるの?」
『__ぁ、』
申し訳なさそうに顔を出したAにルークが入れ違う様にしてドアノブに手を掛けた
「あとは当事者同士でごゆっくり」
閉じた扉のその先で、ルークは誰に見られる事無く小さく微笑んだ
「__まぁ言って無いのだけれどね」
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映国 - パピさん» おコメント嬉しいですありがとうございます……!!パピ様に褒めちぎって頂き光栄でございます。文脈的にも所々おかしなところがあったかと思いますが完結まで読んで頂き感謝しかございません、これからのそのありがたきお言葉を胸に精進して参りたいと思います!! (2021年3月6日 11時) (レス) id: 887c7da550 (このIDを非表示/違反報告)
パピ(プロフ) - 神作品過ぎて…、笑いあり涙ありもう語彙力が溶けるレベルで神作でした! 後半の儚さがもうたまらなく好きです。今更ですけど完結おめでとうございます! お疲れ様でした! (2021年3月2日 19時) (レス) id: cbf5dcb5ea (このIDを非表示/違反報告)
映国 - 美月さん» すみませんレス返せていませんでした!! (2020年9月30日 7時) (レス) id: 887c7da550 (このIDを非表示/違反報告)
映国 - みっ……!?!?美月さん!!!嬉しいですありがとうございます大好きです!!今回はいつもとテイストを変えてみました!!内容の面白さは保証出来ませんがヴィル様愛を書き散らした作品となっております!!楽しんで頂けたら幸いです!!!! (2020年9月30日 6時) (レス) id: 887c7da550 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - 面白そうと思って覗きに来たら……映国さんだったのですね………映国さんの愛するヴィル様の夢小説……じっくり楽しませていただきます………大好きです………(語彙消失) (2020年9月29日 19時) (レス) id: 48104f3cfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:映国 | 作成日時:2020年7月12日 16時